この「不適切にもほどがある! インタビュー」ページは「不適切にもほどがある!」のインタビュー記事を掲載しています。
阿部サダヲさん主演、宮藤官九郎さん脚本の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系、金曜午後10時)。ドラマの放送がされるたびに、SNSではさまざまな感想や考察が書き込まれ、話題になっている。なかでも、小川純子役の河合優実さんについて、「めちゃくちゃ可愛い」「演技に引き込まれる」といった声が上がっている。第6話(3月1日放送)では、おなじみのミュージカルシーンに河合さんが参戦し、その歌声も話題になった。「あの歌声で、ダンスもうまいし、すごいなと思う」と話すドラマを手がける磯山晶プロデューサーに、ミュージカルシーンの裏話を聞いた。
◇「いだてん」「RRR」がきっかけ
「オンエア直後からたくさんの感想をいただきますので、みなさんに見ていただいているという手応えを感じていますし、宮藤さんも阿部さんもすごくたくさん感想をもらう、と言っていました。反響ってこういう風に大きくなるんだなという印象ですね」と喜びを語った磯山さん。
宮藤さんとは、「1986年から2024年にタイムスリップする中年のおじさんの話にしよう」というところから話し合いが始まり、早い段階で“大事なこと”はミュージカルシーンの歌で言う、ということが決まったのだという。
「(宮藤さんが脚本を手がけた大河ドラマ)『いだてん』でロサンゼルスオリンピックの選手村に行く回で、選手村に着いた、と踊るシーンがあって、『ああいうのを私もやりたい』と宮藤さんに言ったんです。あと、映画『RRR』を見て二人で興奮していて、劇中に歌って踊るシーンがあるのはいいよね、という話をして……」
磯山さんが“歌う阿部さん”に魅力を感じていたこともあり、歌うことで阿部さんの魅力がより伝わるのではと考えていたところ、向坂サカエ役の吉田羊さんも歌が上手いことも知った。「みんな歌がうまいなと思って、そういうシーン入れましょうとなったら、宮藤さんが『テーマを歌うのはどうですか?』って」と振り返る。
第6話「昔話しちゃダメですか?」のミュージカルシーンでは、“17歳”の頃について、市郎(阿部さん)や渚(仲里依紗さん)らが歌う中、最後に純子が参戦した。「私は今、17歳~まだ何者でもない」「私はまだ17歳~昔話のネタがない~」と美しい歌声を披露し、SNSでは「河合優実よ、歌までいけんのかよ……」といった驚きの声も上がった。
実は河合さん自身が「歌が得意」と話していたことから、磯山さんは「相当うまいと思っていた」とハードルが上がった状態で、満を持して第6話で歌ってもらうことになった。「事前に歌を録音するんですけど、作曲家の先生も(河合さんが)『デビューしたらいいのに』と言っていました」とその実力に驚いていたと明かす。
◇第8話は「失敗・謝罪・許容あるある+市郎の今度の生き方」
「働き方改革」といったさまざまな現代の問題も扱う今作。これらは、宮藤さんと磯山さんが打ち合わせの合間に話した雑談の中で出てきた内容がチョイスされている。
「モヤモヤすることや愚痴を言い合っている中によく出てきたことを、順番にやっている感じですね。宮藤さんはサラリーマンになったことがないのに、働き方改革や働くお母さんに対する理解が深いなと思いました。こっちはリアルに愚痴を言っているだけなんですけど(笑い)、そのくみ取り方がすごい。宮藤さんは自分がモヤモヤしたことを忘れない人なんだなと思いますね」
3月15日放送の第8話のテーマは、「1回しくじったらダメですか?」。「“世間が受け入れる”謝罪や復帰があるとよく宮藤さんとしゃべっていて。あの人は許されて、この人は許されないとか、そういうことをドラマでやったら面白そうと思って選んだ題材」と話す。
また、「市郎さん的にはそろそろ昭和に帰らないといけない、そういうタイムリミットが迫る中、自分がここにいる意味ってなんだろう?と思って、令和の人に世話を焼いちゃう回。世の中の失敗あるある、謝罪あるある、許容あるある、プラス市郎さんの今度の生き方みたいな回ですかね」とも明かした磯山さん。最後に、視聴者に向けて「とにかく楽しんでください!」と呼びかけた。
ドラマは、スパルタ指導で子供に接する中学体育教師で、野球部顧問の小川市郎が1986年から2024年へタイムスリップ。法令順守に縛られた令和の人々に考えるきっかけを与えていく……というストーリー。