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解説:吉川愛 王道ヒロインから悪役まで 視聴者に深読みさせる魅力

連続ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」で蓮水花音を演じる吉川愛さん=読売テレビ提供

 俳優の成田凌さんが主演を務める連続ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(読売テレビ・日本テレビ系、日曜午後10時半)で、謎の女性・蓮水花音を演じている吉川愛さん。“王道ヒロイン”からヒロインのライバル、はたまた若き殺人犯まで善悪硬軟問わず役どころの幅広さは圧倒的だ。そんな吉川さんの経歴を振り返りながら同世代唯一無二の魅力を解説する。

 吉川さんは、1999年10月28日生まれ。東京都出身。B型。子役として「メイちゃんの執事」(フジテレビ、2009年)などに出演。2019年1月期の「初めて恋をした日に読む話(はじこい)」(TBS)ではぶりっ子の“エトミカ”こと江藤美香役を好演して話題を呼んだ。

 視聴者の度肝を抜いたのは続く同年4月期の「緊急取調室」第3シーズン(テレビ朝日)での北山未亜役だ。シーズン第1話冒頭で3人もの人間を殺害した容疑でキントリの取り調べを受けるも自供しないという役どころで強烈なインパクトを残し、第9話、最終話でも大先輩の天海さん演じる真壁有希子と正面から渡り合って大きな反響を呼んだ。

 2020年1月期の「恋はつづくよどこまでも」(TBS)では、ヒロインと同期の優秀なナース、酒井結華を演じた。ヒロインをライバル視するクールな性格ながら根は優しいという物語に欠かせない役どころをしっかりと演じた。

 クールでハードな役どころのイメージが強かった吉川さんだが、2021年公開の映画「ハニーレモンソーダ」では内向的な性格の優等生という“王道ヒロイン”の石森羽花を演じ、第45回日本アカデミー賞新人賞を受賞している。

 こうして数々の役どころを演じてきた吉川さんのさまざまな側面が表にでたのが、2022年7月期の「純愛ディソナンス」(フジテレビ)で演じたヒロインの和泉冴だろう。「令和の新・純愛×ドロドロエンターテインメント」をうたった作品とあって、主演の中島裕翔さん演じる高校教師、新田正樹と禁断の恋に落ちるも、母は毒親、正樹は5年後に別の女性と結婚、バイト先の上司は陰謀家ととさまざまな要素が混然一体。吉川さんは、正樹をいちずに慕うも富田靖子さん演じる毒親の母とは激しく言い争うなど、これまで演じてきたさまざまな役どころの要素が生かされたキャラクターを作り上げていた。

 善悪硬軟取り混ぜた吉川さんの幅広いキャリアは、演じる役にミステリアスな魅力と深みをもたらしている。「幼なじみの心優しいヒロイン」という役どころであっても、吉川さんが演じると「実は言えない秘密を持っているのでは?」「実は裏切るのでは?」と油断できない。視聴者はさまざまな展開を深読みすることができる。一方、主人公と敵対する役どころでも「終盤で味方になってくれるのでは?」「悲しい過去を持っているのでは?」と意外なバックボーンを想像させてくれる。さながらベテランの性格俳優が演じる役に抱くのと同じ想像を、24歳の吉川さんが抱かせてくれるのだ。

 今回の「降り積もれ孤独な死よ」で吉川さんが演じている花音は、過去に親から育児放棄されて灰川十三(小日向文世さん)に保護され、6年前まで灰川の屋敷に住んでいた謎の女性。屋敷から13人の子供の白骨死体が発見されたにもかかわらず灰川を“父”と呼んで心から慕っており、冴木仁(成田さん)と一緒に事件の真相を追う……とこれまたミステリアスなキャラクターだ。吉川さんならではの魅力が詰まった花音が、どう物語をかき回すのか注目したい。

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