この「悪い女 インタビュー」ページは「悪い女」のインタビュー記事を掲載しています。
10歳で子役としてデビューし、俳優、ラジオパーソナリティーとして活躍中の本仮屋ユイカさんが、芸能生活27年目で初のショートドラマ「悪い女」(BUMP)で主演を務めた。ドラマは、殺人事件の容疑者として浮上したセレブ妻・藤堂玲花(本仮屋さん)の過去から、次々と衝撃的事実が明かされていくサスペンス。玲花は高校時代の憧れの教師との再会を機に運命が一変するが、本仮屋さんに“憧れの人”との再会についても話を聞いた。
◇初のショートドラマ出演「大きな挑戦」だった
1話5分以下という、従来のドラマでは考えられない短尺で楽しめるショートドラマ。現在は若年層を中心に浸透しているが、2029年には世界市場規模が8.8兆円に達すると予測されており、今年に入って国内の民放各局も続々と参入し始めるなど注目を集めている。
オファーを受けるまで、ショートドラマには疎かったという本仮屋さん。「インスタグラムとかを見ていると(ショートドラマの)切り抜き動画や予告が出てきて、これは一体どこで見られるドラマなんだろう?って不思議に思っていたんです。今回オファーをいただいて、これだったんだ!と謎が解けました」と笑う。
そんなショートドラマへの出演は、自身にとって「大きな挑戦」だったと言う。
「これまで経験してきた地上波の連続ドラマが、1話45分近くのものを10話ぐらいでキャラクターをちょっとずつちょっとずつ積み重ねていくのに対して、短い尺の中で緩急をつけなければいけないですし、続きのお話をまた見たいと思っていただけるものを出さなければいけない。私自身スロースターターなところがあり、練習もいっぱいしないといけないタイプなのですが、地上波の撮影よりも圧倒的早いスピード感で、それだけのものを出すのは結構大きなチャレンジでした。しかも、 演じる玲花がだいぶ浮世離れしてる女性だったので(笑)」
未知の領域に踏み出せたのは、かつてタッグを組んだ監督からのオファーだったため。
「3年半前の『私の夫は冷凍庫に眠っている』(テレビ東京系、2021年)という作品でご一緒した御法川修監督からのオファーだったとうかがったので光栄ですし、挑戦しなければ!と。『私の夫は~』が常軌を逸しているといいますか、自分のリアリティーからはとても離れたお話だったのですが、 そういう世界に無理なくいざなってもらえたし、演者へのリスペクトと思いを感じていて、またいつかご一緒したいと思っていたんです。御法川監督とであれば、この挑戦ができると思い、チャレンジしました」
演じるにあたっては、短い尺の都合ゆえに「本編には描かれていないこと」まで想像した。
「この人とここに会うまでどこ行ってたんだろうとか、 玲花って普段どうしてたんだろうとか、本編には描かれていないことがたくさんありますが、自分の中でちゃんと整理しておかないと、つじつまを合わせられないことがあったので、疑問に感じた点は監督に1個ずつ質問して、監督自身も持ち合わせてない答えだったら2人で考え合う作業の連続でした」
◇芸能活動以外は「もっとできない」
演じる玲花は、高校時代の憧れの教師の辻沢(久保田悠来さん)との再会を機に運命が一変するが、“憧れの人との再会”が自身にもあったか聞くと「3年B組金八先生 第6シリーズ」(TBS系、2001年)で共演した武田鉄矢さんの名前を挙げた。
「『3年B組金八先生』で生徒役だった私が去年、自分が担当するレギュラーラジオ番組に先生をお迎えすることになったのですが、その時はすごく感慨深かったです。武田先生は一体私のことを覚えているのだろうか?と思っていたのですが、『本仮屋はこうやって芸能界で活動してるからって』と言ってくださって! 1人の俳優としてここにいることを先生は認めてくれてんだなと思った時に、なんか今日まで頑張ってきて本当に良かったなって報われた気がしました」
10歳から子役として活動し、芸能生活は四半世紀以上。これまで辞めようと思った瞬間は「いっぱいありましたよ」と振り返る。「何度も向いてないなと思いましたが、これ(芸能)以外は多分もっとできないから」とあっけらかんに笑う。
芸能活動を続けてこれた理由について「御法川監督の様にたまに自分の運命を変えるような表現者と出会うんです。自分の可能性を自分以上に信じてくれる人がいるんだって。自分の力を最大限に引き出してたくさんの人に届けてくれるという希望があったからこそ、今日まで続けてこれたんだと思います」と述べ「今回再びご縁をいただいたので、ここからもまたご縁が続いていけたらうれしいな」とほほ笑んだ。
にじみ出る謙虚で真面目な人柄が、オファーが長く芸能界で活躍できる理由だと感じた。