この「うる星やつら インタビュー」ページは「うる星やつら」のインタビュー記事を掲載しています。
高橋留美子さんの人気マンガ「うる星やつら」の完全新作テレビアニメの第2期が5月30日の放送から最終章「ボーイミーツガール」に突入する。新作アニメは、同作を刊行する小学館の創業100周年を記念して、約36年ぶりにテレビアニメ化され、第1期が2022年10月~2023年3月に放送された。「ボーイミーツガール」は原作の最後を飾る人気エピソードで、1988年には同エピソードを原作とした劇場版アニメ「うる星やつら 完結篇」も公開された。新作アニメで大役を受け継いだ諸星あたる役の神谷浩史さん、ラム役の上坂すみれさんは、原作への大きな愛、並々ならぬ決意と覚悟を持って「ボーイミーツガール」の収録に臨んでいるという。神谷さん、上坂さんに最終章に懸ける思いを聞いた。
◇「ボーイミーツガール」のすごさ
--神谷さんから見た「ボーイミーツガール」の魅力は?
神谷さん 原作では、このエピソードをまるっと1巻使ってやり切り、エンディングに持ってくる。本当にすごいです。高橋留美子先生のことをずっと好きな理由の一つでもあります。読むと、毎回感動するんです。いろいろなことが上手すぎるんです。「うる星やつら」にはたくさんのキャラクターが登場します。そのキャラクターたちがとても魅力的で、それぞれに役割があるのですが、「ボーイミーツガール」は、みんなそれぞれに見せ場がちゃんとあって、そのキャラクターが故に成立するシーンがちりばめられているんです。緊張と緩和のバランスが素晴らしすぎます。それぞれの行動の整合性が全部とれていますし、全部のキャラクターに見せ場を作った上で最終回をこんなに美しく構成できることに感動しちゃうんです。全てのキャラクターへの愛情があってできていると改めて感じました。
--演じるとなると読み方も変わった?
神谷さん 自分が演じることを踏まえて読み直すと、僕の中で全部のキャラクターが完璧な音で生き生きとしてしゃべるんです。初代のキャストの声でみんながしゃべるのですが、1年にわたって新キャストのみんなと作品に向き合ってきたので、初代と新キャストがちゃんぽんされる。初代のキャストの方だとこんな感じで、新キャストだったら多分こんな感じだろう……と自分の中に新しい回路が出来上がっていると気付きました。自分の頭の中で鳴っているベストのあたるは、古川(登志夫)さんです。ただ、自分の味付けもできるかもしれない……という希望もあったりもします。演じることを全く考えずに読んでいた高校生の頃から何度も読み返し、アニメが始まる前に読んで、始まってから読んで、このエピソードの収録の前に読んで……と読み方が変わっているところはありますね。
◇最後は泣いちゃう!?
--上坂さんは?
上坂さん 私はマンガの最終巻を読むと寂しくなってしまうので、実はマンガを最後まで読まないこともあるんです。「ボーイミーツガール」は高校生の時に初めて読んで、読み始めたら止まらなくなりました。気がついたら、あっという間に終わっていました。終わっちゃった……ではなくて、なんてすてきな読後感!なんて最高なんだろう!と大団円の一番すごいものとして記憶に刷り込まれました。神谷さんがおっしゃっていたように、私も初代のキャストの皆さんの声が再生され、それが抜けることは一生ありません。「うる星やつら」のファンだったら絶対にそうだと思うんです。これも神谷さんがおっしゃっていた通りなのですが、1年にわたって演じさせていただき、新しいキャストの方々の声も想像できるようになったんです。2パターンの「うる星やつら」が自分の中に存在しています。
--読み返して改めて感じたことは?
上坂さん 「ボーイミーツガール」の収録が始まる前に、読み直すとやっぱり止まりません。全てのキャラクターに対して先生の心からの愛を感じます。誰も置いてけぼりにされてないし、みんなのいいところを出し切っています。あの2人に振り回されてきた人たちなのに、みんなが力を貸してくれる。めちゃくちゃ熱い展開です。全てのエピソード、歩みがあって、ここにつながっているんだ!という全ての人を納得させる説得力がすごいお話です。最後の最後までワクワクさせてくれるのが「うる星やつら」のすごいところだと改めて感じました。今は途中まで収録しているのですが、完成形がどうなっているのかは、まだつかみきれていないので、そこが楽しみです。
神谷さん 原作を読んでいると毎回泣いちゃうんですよ。どれだけ作品好きなんだろう……と思うんですけど(笑い)。この気持ちのままアフレコに行って大丈夫かな?と不安になるところもあります。台本をチェックしていて、スタジオでできるのだろうか?泣いちゃうんじゃないかな?となってしまい……。仕事スイッチがあるので、現場に行ったら、現場の立ち振る舞いはできなくはないけどね。
上坂さん みんなで泣きましょう! 終わってしまう……という気持ちも大きいですね。ルパやカルラ、ウパ、ラムちゃんの曾祖父も出てきます。曾祖父は、まさかの銀河万丈さんなんです。面白すぎて、いい意味で寂しさが吹っ飛びました。ラムちゃん一家は本当に適当だなって(笑い)。いつもとは違うけど、リラックスできたところがありました。
◇長い道のりを終えて
--ルパ役の中村悠一さん、カルラ役の水瀬いのりさん、ウパ役のチョーさんといった新キャストも豪華です。
神谷さん ルパ役は先に聞いていて、イメージはできていました。チョーさんは一人だけ実写なんで(笑い)。何の違和感もなくて、合いすぎてむしろ怖い! すごいですよ。カルラも楽しみです。いのりちゃんのめちゃくちゃ可愛い声で、なまったしゃべり方をするとどれだけキュートになるのか? 思い入れのあるキャラクターですし、楽しみです。
上坂さん ルパは、格好いいところもあるけど、ドジっ子なのかな? 可愛い表情も見えます。ラムちゃんやカルラにひっぱたかれたり、引きずり回されたり、本当にかわいそうです。中村さんのお声を聞いて、ずっと脅迫されてきたルパも立派に育って……となりました。カルラは、いのりちゃんのなまり可愛いボイスが絶対に最高でしょうし、楽しみです。いのりちゃんの暴力系ヒロインというのも新鮮ですね。
神谷さん カルラは武器で攻撃してきますからね。
上坂さん いのりちゃんになら撃たれていい!
--最後の収録に向けて意気込みを教えてください。
神谷さん ずっと憧れていた作品、大好きだった役を自分の声で最後まで導いていく。そのつもりで始めたはずですが、いざ目の当たりにするとすごく寂しいです。でも、誰かがやるんだったら、絶対に僕がやりたい!というところからのスタートなので、最後までたどり着いてみせよう!というのが今の気持ちです。
--終わった後はどうなりそう?
神谷さん 絶対に泣いちゃいます。終わったら、生きがいを新しく見つけなきゃいけないですよ。
上坂さん 印象的なラストシーンのコマはグッズになっていて、学生の頃からクリアファイルやシャーペンとかでも触れていました。きちゃったか……という気持ちですよね。オーディションの原稿でも「ボーイミーツガール」のせりふがあって、ついにそれを言う時がきました。オーディションは3年くらい前ですし、すごく長い道のりでした。最終回を迎えますが、一生やりたい気持ちです。いっぱいお願いすれば、今後も演じさせていただけるのかな? 一生ラムちゃんの声が出るように、コンディションを良くしておこうという気持ちです。
神谷さん 酒の飲み過ぎに気をつけないとね(笑い)。
上坂さん 酒焼けしたらラムちゃんはできませんから(笑い)。「うる星やつら」の本編は一区切りになりますが、また見たいと思っていただけるようなエピソードになれば……という願いを込めて演じていきたいです。
神谷さん、上坂さんはありったけの愛を込めて「うる星やつら」と向き合っている。「ボーイミーツガール」という集大成に向けて熱い演技を聞かせてくれるはずだ。「うる星やつら」の第2期は、フジテレビの深夜アニメ枠“ノイタミナ”ほかで放送中。