名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
12月4日に発売されるコミックス最新18巻の発行部数が100万部を突破することも話題の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」。「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中のマンガで、同誌の連載作のコミックスが100万部を突破するのは「黒子のバスケ」「暗殺教室」以来の快挙となった。今、最も勢いのあるマンガ「鬼滅の刃」の人気の理由を探った。
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「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、凶暴な鬼に変異した妹を元に戻し、家族を殺した鬼を討つために旅立つ……というストーリー。2016年に同誌で連載が始まった。
「週刊少年ジャンプ」の大看板である「ONE PIECE(ワンピース)」のコミックスの2019年の年間累計売り上げは、推定1270万部(2018年11月19日から2019年11月17日に集計、集英社調べ)で、同年の国内のマンガで1位の記録だ。「鬼滅の刃」の同年のコミックスの年間累計売り上げは推定1080万部(同)で、年末に全世界累計発行部数が4億6000万部を突破する“お化けマンガ”の「ONE PIECE」に続く、2位の記録となった。
また今年9月に1000万部を突破したコミックスの累計発行部数は、3カ月後の12月には2500万部を突破。破竹の勢いで部数を伸ばしている。グッズも好調で「新商品を発表すると、SNSで今、一番バズるのが『鬼滅の刃』。10~20代の女性を中心に人気」という関係者の声もある。
「鬼滅の刃」は、連載開始当時から人気はあったが、テレビアニメが今年4~9月に放送されたことが、大ブレークのきっかけになった。テレビアニメは、「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」「活撃 刀剣乱舞」などのufotable(ユーフォーテーブル)が制作。ufotableの作品は、これまでも美しい映像に定評があったが、「鬼滅の刃」の美しい映像は“神作画”と話題になった。
2016年10月~2019年3月に「鬼滅の刃」の編集を担当し、テレビアニメ化の立ち上げにも参画した「週刊少年ジャンプ」編集部の高野健さんも「アニメも素晴らしく、アニメをきっかけにファンになった方も多い」と話す。
作者の吾峠さんはメディアへの露出もないことから、その素顔はあまり知られていない。高野さんは、吾峠さんについてこう話す。
「『ONE PIECE』の尾田栄一郎先生もそうですが、吾峠先生も読者の声をとても大切にしています。読者のアンケートをすごく分析するんです。コミックスなどのコメントでも分かるように、天然な方です(笑い)」
さらに「炭治郎のように正直で嘘がつけない方」と続ける。「鬼滅の刃」は、人気キャラクターが死んでしまうこともある。吾峠さんが「嘘がつけない」こととハードな展開が関係しているという。
「炭治郎たちと鬼との戦いをリアルに描こうとしています。鬼は恐ろしく、すごく強い。強いので、人間が勝ち続けるわけではない。その世界感、命のやりとりをリアルに描こうとしています。吾峠先生は世界観に対して実直なんです」
高野さんは「ONE PIECE」の編集も担当している。「鬼滅の刃」「ONE PIECE」というヒット作には、ある共通点があるという。一つはキャラクターの魅力。もう一つは「言葉の力」だ。マンガでキャラクターの魅力が重視されるのはよく言われていることだが、「言葉の力」とは……。
「言葉に魅力がある。せりふが心に残るし、リズムがいいんです。尾田先生は落語に由来する言い回し、吾峠先生は繰り返しや倒置法などの使い方がすごく魅力的です。マンガは絵、デザインなどさまざまな要素がありますが、言葉もリズムを生み出しています。ただ、言葉は磨いてどうにかなるものではないのかもしれません。新人作家でも、絵、レイアウトはまねをしながらうまくなっていきますが、言葉を伸ばすのは難しいんです」
「ジャンプ」の新たな看板の一つになった「鬼滅の刃」。2020年には劇場版アニメ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開されることも発表されることも話題になっており、人気はまだまだ加速していきそうだ。
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