この「アオのハコ インタビュー」ページは「アオのハコ」のインタビュー記事を掲載しています。
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の三浦糀さんの人気マンガが原作のテレビアニメ「アオのハコ」が10月3日からTBS系28局で毎週木曜午後11時56分に放送される。中高一貫スポーツ強豪校・栄明高校を舞台に、男子バドミントン部・猪股大喜が、女子バスケットボール部の先輩・鹿野千夏に恋をする……という青春部活ラブストーリーで、等身大のキャラクターたちがそれぞれの思いを胸に部活に打ち込むひたむきな姿、“誰かを好きになった時”の心の機微を繊細に描いている。青春のキラキラしたまぶしさ、もどかしさを丁寧に描いた話題作で、アニメへの期待が高まる。大喜役の千葉翔也さん、千夏役の上田麗奈さんに、同作への思い、収録の裏側を聞いた。
◇不器用な大喜と千夏の魅力
--原作の印象は?
千葉さん キャラクターデザインは、どちらかというと写実的で、表情などで感情を表現しているように感じました。心理描写が細かく、目線、沈黙などに意味があって、そこがすてきなので「演じたい!」「演じるとどうなるんだろう?」と思いました。
上田さん 登場人物がみんなスポーツに対して真剣だからこそ、お互いを尊敬できたり、高め合ったり、ひかれたりしていきます。相手をおもんばかるところ、スポーツへの強い意志もあって、恋に対してスムーズには踏み込めないところもすごく魅力的で、スポーツと恋が描かれていて、どちらも魅力的です。一生懸命な子たちの青春がまぶしくて、いいなあ……ときゅんとするところもありますし、私もこういうふうに考えたい、こういうふうに人を思って行動できたらいいなとエネルギーももらえます。
--二人の関係は、もどかしいところがあります。
千葉さん 同じ志を持っていて、心の強さもあるのですが、つかみどころのないコミュニケーションのようにも感じています。刺しにいこうとしない言葉がお互いに刺さっているみたいなところがあって、同じ方向を向いてちょっと遠目に走っているような印象ですかね。横を向くと、走っていて、並列にいるような印象です。
上田さん 確かにそうですね。二人共、自分にとって大事な確固たるものがあって、どちらかがいないと成立しないような軸ではない。自分の足で立って、苦難を乗り越え、前に進んでいて、一人一人がキラキラ輝いているんです。ふと隣を見た時、仲間がいることで元気づけられ、自分も頑張ろう!とプラスに働く感じがすてきです。収録の時もそこを大事にしようとしていました。
千葉さん 普段から思っていることを伝えてみたら、相手にすごくプラスになったりして、大喜としては、自分の言葉が千夏先輩に響くとは最初から思っていなかったりもしますし、フラットな気持ちでコミュニケーションしているんですいよね。自分を盛らないですし、正直なのが、大喜のすごいところだと思います。
上田さん 原作に登場する花恋や針生のようにバランスが取れていないんですよね。不器用なところもあって。
--確かに不器用なところがあります。
上田さん もうちょっと話せばいいのに……と思ったり。
千葉さん 下心がなさすぎて、お互いのことをつかめていないような気がします。真っすぐ飛んでくる善意をどうやって受け取ったらいいんだろう?となったり。
上田さん 大喜は下心がないですよね。だから千夏も自分の気持ちをゆっくり育てられるんだと思います。
◇濁りや迷いのない千夏を
--演じる中で大切にしたことは?
千葉さん 真っすぐさは最初からずっと感じています。インターハイを目指す思いもそうですし、千夏先輩や周りの人とのコミュニケーションにおいても、自分を高くも安くも見積もらない。今、こう思ったというところに疑いがない感じですね。そこが、真っすぐさにも通じると思い、意識しています。経験則によって調理しちゃわないんです。僕だったら、自分の経験だったら……と頭で考えるけど、大喜はどこか条件反射的な優しさ、気遣いがあるんです。例えば語尾もそうですけど、押し付けがましくないところを意識しています。
上田さん バスケへの真っすぐさがもちろんあって、だからこそ頑張れるところを大事にしています。自分の気持ちが自分でも分かっていないところもあるんですよね。分からないからこそのあざとくなさ、濁りや迷いのなさがあって、すごくフラットで無色のようにも感じています。
-ー生々しさもある?
千葉さん 僕はそう感じています。そんなことないですか?
上田さん そんなことあります!
--2人はこれまで共演は? お互いの役者としての印象は?
千葉さん ここまで掛け合いするのは初めてです。予測不能な感じがすごくいいなと思っていました。
上田さん 私、もしかして台本ちゃんと読めていない……!?
千葉さん 違いますよ(笑い)。僕はテストと本番で全然変わることもあるのですが、上田さんも何かの影響で、流れが変わることがあるようにも感じていました。解釈は一つだった方がいいけど、正解は一つではないですし、瞬間を大事にされている印象があります。方程式に当てはめるのではなくて、ゼロから考えているように感じていました。
上田さん 千夏のように、千葉さんの大喜に感動したのですが、うまく言葉が見つからなくて……。この言葉がぴったりなのかは分からないのですが、温かさを感じていました。温度感があって、空気から温度が伝わってくる。この時間を共有していると感じるんです。自分のせりふ、考えを自分の周りで完結させるのではなく、時間と空間を隣のマイクまで共有してくれて、巻き込んでくれる方なんです。私もそれが好きなので、心地よく飛び込むことができて、楽しかったです。
千葉さん うれしいです!