タイトル:Huluオリジナル「息をひそめて」 配信:4月23日(金)一挙独占配信<全8話>
コロナ禍の2020年、東京・多摩川沿いに暮らす人々のささやかな日常を、斎藤工さん、夏帆さんら実力派俳優が演じた動画配信サービス「Hulu(フールー)」のオリジナルドラマ「息をひそめて」が4月23日から独占配信される。一つ一つ丁寧に作り込まれた全8話で送る珠玉のオムニバスストーリーだ。
「息をひそめて」は、映画「四月の永い夢」で知られる中川龍太郎監督と、映画「そこのみにて光輝く」の脚本を手がけた高田亮さんによるオリジナル作品で、コロナ禍に見舞われた2020年の多摩地域を舞台に、何気ない日常を歩む人々に訪れた出来事を描く。音楽にharuka nakamuraさん、撮影監督に「宇宙でいちばんあかるい屋根」の上野千蔵さんを迎えて紡がれる美しい映像と音楽を、4K映像と5.1chサラウンドで映し出している。
舞台となる多摩川周辺は、豊かな自然とともに、かつては砂利の採掘で栄えたが、戦後の高度成長期に多くのベッドタウンが開発された。古くからの個人商店や団地、地方出身者の寮に、近年のタワマンラッシュと、地域ごとに趣が異なり、さまざまな立場の人々が暮らしている。
本作でそんな人々を演じるのは、夏帆さん、村上虹郎さん、安達祐実さん、三浦貴大さん、瀧内公美さん、光石研さん、斎藤さんら、数々のドラマや映画で活躍中の個性豊かな実力派俳優陣。さらに石井杏奈さん、蒔田彩珠さん、萩原利久さん、長澤樹さん、横田真悠さん、小川未祐さんといった気鋭の若手キャストが加わることで、みずみずしい魅力を放っている。
そんな名優たちによって表現されるのは、客足が激減した町の食堂の店主、リモート授業になったにもかかわらず実家に帰らない大学生、宅配のアルバイトをする娘と父親、在宅勤務で24時間顔を突き合わせることになる夫婦、最後の合唱コンクールが中止になった高校生など、普通の人々の平凡な暮らしだ。コロナ禍によって変化してしまった“ありふれた日常”が優しいタッチで描かれている。
コロナ禍は、誰しもが少なからず影響を受けているだけに、共感を覚えることも多いテーマだ。しかし本作は、それを下敷きにしながらあえて前面には出さず、一方で、身近な日常を優しく丹念に描いた押しつけがましくない演出になっている。それでいて、いずれの物語も、柔らかい光が差すような展開なので、見終わった後には、読後感の良い短編小説を読んだような、どこかすがすがしく温かい気持ちになれるだろう。
8本の物語には、「人も場所も全ては無くなる」(第1話)、「帰りたい場所が、ずっとなかった」(第2話)、「たまに遠く感じる、君のことが」(第5話)など、印象的なタイトルが付けられており、それぞれ主人公がタイトルをつぶやくモノローグから始まるので、物語にグッと引き込まれる。極端な設定や派手な演出で奇をてらうことなく、市井の人々の姿を念入りに描いているだけに、モノローグの効果が大きく、心に染み渡っていくのだ。
タイトルとなった「息をひそめて」。マスクを着用し、大声でしゃべったり歌ったりすることが難しくなったコロナ禍ならではのタイトルだが、一方で“息をひそめて”語るからこそ伝わるものがあることも描かれている作品だ。変わってしまった人々の暮らしを、変わらず見つめ続けている多摩川と同じく、キラキラとした輝きを放つ作品群をぜひ味わっていただきたい。