
俳優のジェラルド・バトラーさんが主演するクライムアクション映画「アウトローズ」(クリスチャン・グーデガスト監督)が日本で1月23日に封切られる。2018年に公開された「ザ・アウトロー」(YouTubeで期間限定公開中)の続編で、前作と同じくバトラーさんが型破りな刑事ニック・オブライエンを演じている。ミュージカル映画でブレークしたものの、近作ではヒゲ面で肉体派アクションを見せ、男の色気が匂い立つバトラーさんについて、さらにもう一方の主役といっていい、カーチェイスで大活躍するEV車「ポルシェ タイカン ターボ」について魅力を探った。

「アウトローズ(原題:DEN OF THIEVES 2: PANTERA)」は、2018年に公開された「ザ・アウトロー(原題:DEN OF THIEVES)」の続編。全米では2025年1月に公開され、初日の興行収入で1位を記録した(BOX OFFICE MOJO調べ)。すでに3作目の製作も決定している人気シリーズだ。 銃撃戦と巧妙な駆け引きで魅了する型破りな刑事ニックをバトラーさん、ニックがかつて逃がした最凶強盗犯にして宿敵であるドニー・ウィルソン役をラッパーのアイス・キューブの息子であるオシェア・ジャクソン・Jr. さんが続投する。監督・製作総指揮・脚本は前作が高く評価されたグーデガスト監督が務める。

休職処分中のロサンゼルス郡保安局刑事ニック(バトラーさん)は、銀行強盗事件ののち逃亡したドニー(ジャクソン・Jr.さん)の行方を追って、単身欧州へと向かう。ドニーが窃盗を繰り返す犯罪組織と行動を共にしているという情報をつかんだニックは、世界最大のダイヤモンド取引所を狙う壮大な強盗計画に巻き込まれていく。さまざまな策略と裏切りが交錯し、やがて思いもよらぬ共闘へと発展し……というストーリー。 フランスを舞台にダイヤモンド強奪計画を実行しようとする“最凶”強盗団メンバーは……。米国LA保安局の敏腕だが型破りな刑事で通称“ビッグ・ニック”と呼ばれるニック(バトラーさん)、かつて大胆な金庫破りを成功させた天才強盗犯で通称“ジャン・ジャック”と呼ばれるドニー(ジャクソン・Jr.さん)のほか、欧州を中心に数多くの窃盗に関わってきた強盗団の中心人物でダイヤ強奪計画の新たなカギを握るクレオパトラ(エヴィン・アフマドさん)、ドニーらと行動を共にする強盗団の一人でダイヤ強奪計画では通信機器の監視を担当するスラヴコ(サルヴァトーレ・エスポジトさん)、同じく強盗団のメンバーで犯行現場の侵入口確保の役割を担うドラガン(オーリ・シューカさん)ら。

ニックがドニーと共闘を申し出、さらに強盗団とは別の組織もダイヤモンドを狙って動き出し、誰が正義で誰が悪か……頭が混乱しそうな展開に。特にラスト20分はどんでん返しの連続で一瞬も目が離せない。

主演のバトラーさんは、1969年11月13日生まれ、英スコットランド出身。12歳で、ミュージカルに出演。その後、大学で法律を学ぶが、俳優を志す。ロンドンの舞台で経験を積み、1997年に映画デビューを果たした。 2000年、ウェス・クレイブンさん製作総指揮の「ドラキュリア」で米国に進出し、「トゥーム・レイダー2」(2003年)などの大作に出演。2004年公開のミュージカル映画「オペラ座の怪人」(ジョエル・シュマッカー監督)のファントム役でブレイクした。 主演した2007年の歴史アクション映画「300 <スリーハンドレッド>」(ザック・スナイダー監督)が大ヒットし、その後、ロマンチックコメディー「P.S.アイラヴユー」(2007年)、「男と女の不都合な真実」(2009年)なども話題に。2008年には自身の製作会社を設立し、プロデュース業にも進出。「完全なる報復」(2009年)や「エンド・オブ・ホワイトハウス」(2013年)シリーズなどで製作を兼ねて出演した。

ミュージカルで話題になっていた時代はスマートな印象だったが、アクションで頭角を現すと、肉体改造したのか、ヒゲをたくわえ、胸板も厚い“武闘派”体形の野性味たっぷりなルックスに“変身”。 その後の活躍は周知の通りだが、アクション演技には定評があり、「アウトローズ」で製作総指揮も務める共演のジャクソン・Jr. さんは、メーキング映像で「彼が何をしてもアクションになる。このジャンルを知り尽くしている」と一級品だと認めている。 バトラーさんとグーデガスト監督は10年来の付き合いで、「相性がいいと思う」と語る。そんな気心知れた監督の下で、バトラーさんがカーチェイス中の銃撃戦や仲間同士の派手なけんかの肉弾戦など、男の色気が匂い立つアクションを演じた。

アクションだけでなく、敵か味方か分からない心理戦の繊細な表情や、そこはかとなく見せるドニーとのバディー感、深い部分でお互いを思いやる様子など、バトラーさんならではの肉体表現も随所に見られ、やはり今シリーズの主演はバトラーさんでないと、と思わせる唯一無二の魅力を放っている。

「アウトローズ」のもう一方の“主役”は、ダイヤモンドを強奪し逃亡する際に使用したEV車「ポルシェ タイカン ターボ」だろう。今作はEV車に撮影用リモート運転ポッドを搭載して本格アクションに挑戦した初の映画となった。脚本も担当したグーデガスト監督は、ポルシェが映画に出せるかどうか分からない段階から、タイカンをプロットに組み込んでいたという。その理由は、「信じられないほど速く、機敏で、静かな車が必要だった。そして、それは電気スポーツカー(EV車)でしか実現できない」と脚本執筆時に考えたという。 グーデガスト監督ら製作陣はドイツにあるポルシェ開発センターと、ポルシェ・カーズ・ノース・アメリカの技術者たちの専門知識を結集し、理想とするカーチェイスの実現に臨んだ。その結果、映画製作側の厳しい要求に応えるために独自に改造された、特別設計の「タイカン・ターボ」開発モデルが5台誕生した。 チームはスタントカーの改造とテストに2カ月を費やしたという。劇中に登場する1台のタイカンのシーンのために制作された5台のタイカンは、映画のクライマックスとなるカーチェイスが撮影されたカナリア諸島のテネリフェ島へと輸送された。

1台目のタイカンは逃走マシンを撮影するシーン用の純正で未改造のターボS。俳優たちが車外にいるシーンで使用された。 2台目のタイカンターボSは「ポッドカー」(車外操作車両)として使用された。これは屋根に運転ポッドを取り付けて改造された車両で、俳優たちがコックピットで感情を表現し、あらゆるアクションをしている間、車両は高所のポッドにいるスタントドライバーが操縦した。 この車両について、ポルシェの広報担当者は「メーターパネル、イグニッション、スポーツレスポンスダイヤル、シフター/ギアセレクター、ステアリングホイール、アクセル、ブレーキ、スタントドリフトブレーキを含むすべての運転制御部品を車の屋根に移設、運転ポッドに取り付けた」と説明する。 プロデューサーによると、電気自動車に撮影用のリモート運転ポッドを装備した初のケースだったという。

3台目のタイカンは内部が取り除かれ、「ビスケットリグ」車両として使用された。タイカンのシャシーとして機能する移動式カメラプラットフォームに取り付けられ、これによってカメラがタイカンの中をのぞき込み、内部で演技する俳優たちを撮影することができた。俳優による緊迫感あふれる車内のシーンの運転は車の上に取り付けられた運転ポッドに座るドライバーが行っている。 4台目と5台目のタイカンは、奇抜なことができるようにポルシェが改造したスタントカーとなった。ソフトウエアを改変し、それに油圧式ハンドブレーキが組み合わせ、時速約60マイル(97キロ)で後退できるように改造したという。 劇中では、ポルシェ タイカンとアウディS6セダンによる見応えのあるカーチェイスシーンが繰り広げられ、そのほかメルセデスベンツなど欧州の高級車が随所で活躍。車ファンならずとも胸が熱くなることは間違いないだろう。

バトラーさんの生身のアクションと、「ポルシェ タイカン ターボ」の胸熱カーチェイスに目がくぎ付けになる今作。加えて、金庫破りのハラハラドキドキ、敵と味方が二転三転するどんでん返しの展開など2時間強があっという間に感じられるスピーディーなアクション大作。1作目を見てからでもよし、今作から見るのもよし、3作目を楽しみにしながら“ダイヤモンド強奪作戦”の一部始終を堪能したい。