サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会開幕まで1カ月。日本代表23選手も発表され、ムードも盛り上がる中、国際サッカー連盟(FIFA)公認のゲーム「2010 FIFA ワールドカップ 南アフリカ大会」で日本代表の1次リーグをシミュレートしてみた。目標のベスト4へ1次リーグを突破できるのか?
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ゲームは、世界最大のソフトメーカー「エレクトロニック・アーツ(EA)」が開発しており、PS3、Xbox360、Wii、PSPの4種類があり、13日に発売される。日本など出場32チームを含む199カ国・地域の代表チームを収録しており、実際にW杯で使われるスタジアムもほぼ再現した。パスとシュートの2種類のボタンだけでも楽しめる初心者向けの操作もあり、インターネットで最新データを配信するという徹底ぶり。もちろんW杯前には、全チームの公式データを配信するという。
シミュレーションには、Xbox360版を使用。スターティングメンバーは、GKが楢崎正剛。DFは(右サイドから)内田篤人、中沢佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都。MFは、ボランチに遠藤保仁と長谷部誠、左サイドは松井大輔、右は中村俊輔、トップ下は本田圭佑。ワントップは岡崎慎司。試合の操作はコンピューターに任せ、日本が戦う1次リーググループEのカメルーン、オランダ、デンマークと対戦させた。
第1戦は、カメルーン。ゲームのデータでも日本の選手よりも速く、当たりも強い選手が多い。カギは、伊セリエAの「インテル・ミラノ」のエース・エトーをどう封じ込めるかだ。日本は、立ち上がりから捨て身の覚悟で猛然とプレスをかける。特に左サイドの長友と、本田の連携が良く、松井のドリブルもアクセントとなり、次々と好機を作る。すると前半35分に試合が動いた。左サイドの長友がオーバーラップしてセンタリングを入れる。岡崎が競り合ったこぼれ球を本田が遠藤へパス。遠藤のシュートはゴールネットを揺らし、日本が先制した。ゲームというのに周囲は大喜びだ。
後半もプレスが切れず日本の優位に進む。後半13分には長谷部からのパスに反応して中村俊輔がゴール前に飛び出し、カメルーンDFが倒してPKを獲得。これを遠藤が冷静に決めて2対0になった。負ければ1次リーグ突破が苦しくなるカメルーンも反撃開始。プレスが甘くなりはじめた後半20分ごろから、エトーがボールを持つシーンが多くなり、とうとう後半30分にこぼれ球を押し込まれて1点差に詰め寄られた。だが日本の踏ん張りが再びゴールを生む。相手のゴール付近で、中村俊輔と途中出場の玉田が2人がかりで相手DFからボールを奪取。俊輔が華麗なスルーパスを出すと、岡崎が右足でシュート。ゴールに突き刺した。中盤を制圧して相手エースを封じ、弱点である敵DFの連携ミスをついての3対1の快勝劇だった。
第2戦はグループ最強のオランダだ。相手司令塔のスナイダーを厳しいプレスで封じて序盤こそ優勢に進めたが、オランダは個人技で対抗。前半35分、オランダの左サイドからのクロスに、FWのカイトがヘディングで落としたボールは、左サイドのロッベンの前に。日本のDFが詰めるがロッベンが左足を振りぬくと、ドライブがかかったシュートはGK楢崎の手をかすめてサイドネットに突き刺さった。周囲からため息がもれるほどのビューティフルゴールだった。前半のロスタイムには、前がかりになった日本をあざ笑うかのようにカウンターアタックが炸裂(さくれつ)。ファンペルシーがセンターライン付近から約40メートルをドリブルで独走し、あっさりと追加点を奪われてしまう。
後半19分には、右サイドの中村俊輔がボールを奪われると再びカウンター。今度はカイトにドリブル突破を許し、3点差に広がった。日本が意地を見せたのは後半35分。途中出場の玉田が、左サイドの松井からの速いクロスを華麗なボレーで合わせ、1点を返す。その後も途中出場の阿部勇樹のミドルシュートがポストをたたいたり、本田がGKと1対1になるチャンスを作ったものの、終始オランダペースで1対3の完敗だった。
第3戦はデンマーク。オランダは既に2勝(勝ち点6)で1次リーグ突破を決めた。デンマークとカメルーンはそれぞれ1分け1敗で、日本はこの試合に引き分け以上で1次リーグ突破が決まる。だが、キックオフから、デンマークが圧倒的な試合運びを見せる。C・ポールセン(ユベントス)を中心としたMFが、中盤のルーズボールをことごとく奪い、日本はボールを持たせてもらえない。FWベントナーを中心とした猛攻で、日本は防戦一方。前半は0対0だったが、デンマークの支配率は63%と6割を超えた。
後半もピンチの連続だった。後半12分にはトマソンが抜け出し、GKと1対1になるが、楢崎が右手一本でスーパーセーブ。最大の危機となった後半38分には、相手10番の突破にGKもかわされるが、闘莉王が戻ってブロック、ことなきを得た。防戦一方の日本で活躍したのは本田だった。攻撃的MFでありながらフィジカルの強さを発揮して守備に奮闘した。一方、攻撃面は封じ込められ、後半42分に中村俊輔のFKが惜しかった程度。なんとかスコアレスドローに持ち込んだ。強豪ぞろいのグループEの2位となり、奇跡の1次リーグ突破を果たした。
EAの担当者も「何度もシミュレーションをやっているが、こんな結果は初めて」と驚くほどだった。日本善戦のカギは、相手の攻撃を恐れずに攻め込んだことだった。1対1では競り合いで負け、カウンターを食らうシーンは冷や冷やだったが、すばやいパス回しとサイドからのドリブル突破は多くのチャンスを生んでいた。ゲームと同様、本番での日本代表の活躍に期待したい。(毎日新聞デジタル)
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