4月に亡くなった作家・井上ひさしさん作の舞台「ムサシ」の凱旋(がいせん)公演初日を前に14日、主演の藤原竜也さんと勝地涼さん、鈴木杏さん、演出を手がける蜷川幸雄さんが会見。5~8日に行われたロンドン公演では現地各紙にも絶賛されるなど大成功。藤原さんは「こんな恐怖と興奮を味わうのは人生で、そう何度もないだろうなと思う。ロンドンで本当にいい評価をいただいたので、その熱がさめないように演技にぶつけて行きたい」と意気込み、井上さんについては「喜んでくれたのかな。もう少し見守っていてほしいですね」と思いを語った。
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「ムサシ」は、井上さん脚本、蜷川さん演出、宮川彬良さん音楽の舞台。吉川英治の小説「宮本武蔵」から井上さんが作り上げた脚本は、宮本武蔵(藤原さん)と佐々木小次郎(勝地さん)の「巌流島の決闘」から始まる物語。ロンドン公演の最終日にはチケットを求める長蛇の列ができ、異例の立ち見客も。「深い哲学的な静けさへと誘われる」「完璧(かんぺき)な舞台美術」などと地元各紙に絶賛された。
ロンドン公演は、初日からスタンディングオベーションだったといい、名前を挙げて評価された勝地さんは「終わった後になぜかわからないけど泣いてしまいました」と振り返り、鈴木さんも「緊張も不安も楽しみもあったけど3時間を駆け抜けた。受け入れてもらえてうれしかったし誇りにもつながった」と笑顔で語っていた。
凱旋公演は、さいたま市の「彩の国さいたま芸術劇場」大ホールで15日~6月10日。全席指定でS席1万500円、A席8500円。7月7~10日には、米ニューヨークでも公演を行う。蜷川さんは「(同作は)そもそもブロードウェーに乗せるために井上さんが発想した。NYにも『行く、行く』とおっしゃっていたので本当に残念です」としのんでいた。この日は、藤原さんらによる舞台げいこも公開された。(毎日新聞デジタル)