韓国歴史ドラマ「善徳女王（そんどくじょおう）」（ＢＳフジ）で主人公の父・チンピョン王を演じている韓国演技派俳優のチョ・ミンギさん（４４）の日本で初めての写真展「Ｌｉｖｅ　ａ．．．Ｆｒｉｃａ」が現代美術ギャラリー「クムサンギャラリー東京」（東京都中央区）で開催されている。来日したチョさんに個展や日本の印象などを聞いた。（毎日新聞デジタル）

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　チョさんは、０６年からウガンダやエチオピアで家を建てたり、井戸をひいたりするボランティア活動を行っており、今回はその活動のために訪れたアフリカで撮影した写真を個展では初めて公開する。来日して空港から会場に直行したチョさんを大勢のファンが出迎え、チョさんは「今回は家族に（この個展の）雰囲気を見せたいということで来ただけなのに、こんなにたくさんの方がいらっしゃってびっくりした」と笑顔を見せ、「俳優チョ・ミンギとして記憶してもらっていることもすごくうれしいが、それだけではなく写真展をきっかけに、また応援してもらえればうれしい」という。

　展示会場には、風景や子どもたちを撮影した作品が約３０点並ぶ。額もすべてチョさんがセレクトした。チョさんは、今回の写真展のテーマを「人と自然」といい、特に人物をシルエットで表現した写真は「いいか悪いかではなく、その人の現在、そのものが見える感じだったので撮影した」という。気に入っている写真は？と聞くと「全部好きなんですけど、今回の中で選べば車が道路を走っている写真。教会の宣教師が前を走っていて、案内している様子です」と教えてくれた。

　カメラは「キヤノン」「ライカ」「ハッセルブラッド」を使用し、シャッターを切るときは「自然に体が動いて撮れていく。理性的に撮るんじゃなくて自然に体が動いている」と話すチョさんは、撮影後のデジタル処理は一切行っていないという。まるで絵画のようにも見える写真は「普通の印画紙ではなく、キャンバスのようなものを選んで現像液に沈めていった。だから、感覚的に（一般的な写真とは）違うように見えたかもしれない」と語る。

　独学で写真を学んだというチョさんが写真を撮り始めたのは「１３、１４年前から」で主に撮影しているのは「人ですね」という。今回は、「人為的な写真ではなく、自然に車に乗りながら撮った写真がたくさんある。そういう撮り方がうまくいった」と満足そうで、アフリカでは「（移動に）２泊３日ぐらいかかるので、移動する間にここを撮りたいなということを覚えておいて、帰り道で撮ったりする場合もあります」と振り返った。

　今回の来日は家族と一緒だったチョさんは、数多く日本を訪れており、日本の中では「箱根が好き」で、「箱根ガラスの森美術館や星の王子さまミュージアム、アンティークな富士屋ホテルによく行きます。箱根全体が好きですね」と話し、「時間がなく、東京にしかいられない場合にはお台場の（温泉テーマパークの）大江戸温泉物語（東京都江東区）に行きますよ」と笑いながら話した。さらに都心では「表参道の路地裏に、昔の工房などがあって、そこへ行くとインスピレーションをもらえるのでよく行きます」といい、「東急ハンズにはまっています。エジソンのように誰でもアイデアが出てくる。これとこれを組み合わせたら何ができるかっていう楽しみを感じられるので好き」と笑顔を見せていた。

　最後に、日本のファンへメッセージを求めると「『韓流』といってたくさんの俳優が日本に進出して、スターとして広がっているのはうれしいこと。でも、そういうスターという対象だけではなく、一人の人間として日本のファンと付き合いたい」と語り、「私は毎年、井戸を掘っていますが、日本の方と一緒にお金を集めて井戸を掘りたい。『韓流』というコンテンツでの表面的な交流だけではなく、本当に文化的な交流ができれば」と意欲を見せていた。

　＜プロフィル＞

　１９６５年、ソウル生まれ。舞台、映画、ドラマなどで俳優として活動し、「エデンの東」（０５年）などで知られる。現在放送されている「善徳女王」（毎週木曜午後７時から放送）では双子の王女の父としても、王としても弱い立場のチンピョン王を演じており、同作はノーカット版の４枚組「ＤＶＤ−ＢＯＸ」の１巻と２巻（各４枚組１万３４４０円）が発売されている。写真家としては、０５年から活動をはじめ、韓国でグループ展やアートフェアなどに作品を出品しているほか、フォトエッセイなども出版。８月２７～２９日に行われる「アジア・トップ・ギャラリー・ホテル　アートフェア　ソウル」にも出品を予定している。