倉本聰さん:ビートたけし、小栗旬ほか豪華キャスト 長渕は11年ぶり SPドラマ「歸國」

「歸國」に出演するビートたけしさん(右)と小栗旬さん
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「歸國」に出演するビートたけしさん(右)と小栗旬さん

 TBS系で8月14日放送される倉本聰さんが脚本を担当するスペシャルドラマ「歸國」に、ビートたけしさん(63)や小栗旬さん(27)ら豪華キャストのほかに、歌手の長渕剛さん(53)が11年ぶりに俳優として出演することが21日、明らかになった。

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 8月15日の終戦記念日の深夜、静まり返った東京駅のホームに1台の軍用列車が到着したところから始まる。乗っていたのは60年余前、戦争中に南の海で玉砕し、海に沈んだ英霊たち。彼らは平和になった故国を目撃すること、そして数多くの仲間たちの魂がまだ海で漂っていることを知らせるために魂となって帰国したのだった……という物語が展開する。倉本さんが09年6月に舞台化したものを今回のドラマ用に新たに脚本を書き直した。

 倉本さんは「終戦から60年余が過ぎ、戦争の記憶が風化しつつある。日本がアメリカと戦ったことすら知らない子どもがいるという。少年時代をあの戦争の中で過ごした僕ら世代にとって、ただ忘れたでは済まされない深く厳しい思いがある」と脚本を書いたきっかけを語った。倉本さんは戦後まもなく棟田博さんが書いた小説「サイパンから来た列車」(56年)から着想を得たといい、「あれよあれよという間に、経済と科学文明の中で狂奔している今の日本人、戦後60年余を生きてきて、そうした変化にずっと立ち会ってきた僕自身でさえ、この急激な変わりようの中であぜんと立ちすくんでいるのだから、60年余の空白を経て浦島太郎のようにこの国に戻り立った英霊たちの驚愕(きょうがく)は、想像するに余りある」と英霊たちを描いたいきさつを語り、「これは鎮魂のドラマであり、怒りと悲しみのドラマである。もう先のない僕らの世代が、一つの時代の小さな証人として遺(のこ)しておかねばと思い書き下ろしたものである」とメッセージを送っている。

 ビートたけしさんは「今回は、(現・東京都台東区)浅草出身の落ちこぼれ上等兵の話。おととし同じチームでやった東条英機の役からは、だいぶ降格されちゃったけど、こっちの方がおいらにとっちゃ、すんなり来るかな。英霊が今の東京を、日本を見てどう暴れるか、ま、楽しみにして」とコメントし、小栗さんは「豪華キャストの中に、自分が入れて光栄です。倉本先生の書かれたこの『歸國』は、共感できるところが非常に多く、自分でも憂いているようなことが台本に書かれていて、作品を通して自分たちが伝えることができるのが楽しみです」と出演の喜びを語った。

 日本兵の部隊長を演じる長渕さんは、俳優としての活動は映画「英二」(99年)以来11年ぶり、ドラマはテレビ朝日系「ボディガード」(97年)以来13年ぶりの復活。今回のドラマの冒頭で東京駅に到着した英霊たちが整列する前で台本上2ページにもわたる長ぜりふもあるという。長渕さんは「ドラマの現場は久しぶりですが、昔一緒にやっていたスタッフも何人かいて、古巣に戻って来たようなうれしさ、気持ちよさを感じています。今回は僕の恩師であり、大好きな倉本先生にいただいた役。英霊という難しい役で責任重大ですが、先生の喜ぶ顔を見られるよう精いっぱいやります」と意気込みを語っている。

 その他の出演は、向井理さん、堀北真希さん、塚本高史さん、遠藤雄弥さん、ARATAさん、温水洋一さん、八千草薫さん、石坂浩二さんら。5月末にクランクインし、東京駅(東京都千代田区)や靖国神社(同)など各地でロケをする予定。8月14日午後9時からTBS系で2時間半にわたって放送予定。(毎日新聞デジタル)

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