名探偵コナン
#1184「赤レンガ倉庫 消えた誘拐犯(前編)」
12月6日(土)放送分
話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、えんため大賞小説部門の優秀賞受賞作で、空想をして「正義の使者」などになりきってしまうヒロインと、彼女に巻き込まれる少年の姿を描いた「空色パンデミック」(本田誠著、庭画)です。エンターブレインのファミ通文庫編集部、衣笠辰実さんに作品の魅力について聞きました。
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−−この作品の魅力は?
「空想病」という特殊な病気の設定と、その病気にかかわる少年少女の等身大の恋愛模様が魅力です。「空想病」とは突然ライトノベルやアニメなどのキャラクターになりきってしまう病気です。その発作をおさめるために、周囲の人々も他のキャラクターになりきって演技しなければなりません。結果、患者本人も周りの人間もとても恥ずかしい思いをするという(笑い)。そんな「空想病」のヒロインの結衣が起こす発作に主人公の景が翻弄(ほんろう)されていくうちに恋心が芽生え……といった王道のラブストーリーと、読者をうまく「だまして」くれる展開の妙を楽しんでいただきたいですね。
−−作品が生まれたきっかけは?
この作品は第11回えんため大賞小説部門の優秀賞受賞作です。本田先生は第10回に別の作品で最終選考まで残りました。その作品を出版目指して改稿している中で、本田先生の方から「実はこういうアイデアもありまして……」とお話があって、書いていただいたのが「空色パンデミック」です(当時のタイトルは「セカイを敵にまわす時」)。第1稿からすごいスピード感で、ぐいぐい引き込まれてあっと言う間に読了しました。「これはすごい作品になる!」と確信したのを覚えています。
−−作者とイラストレーターはどんな方でしょうか?
本田先生は物腰の柔らかい気さくな方です。作品の設定やストーリーを話されるときが印象的で、あたかも頭の中に小説が完成されているかのように、よどみなく延々と語ってくれます。そんなところにも才能を感じますね。庭先生には、キュートで繊細な画風が「空想病」をめぐる悲喜劇によくマッチすると思いお願いしました。一を言えば十で返してくれる素晴らしいイラストレーターさんです。ある機会に、のどを痛められて声が出ないということで筆談で会話をしたことがありました。字も可愛らしい方です(笑い)。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
8月に発売予定の3巻で、1巻から続く「セカイ系編」が完結します。その後の展開は未定ですが、本田先生はたくさんのアイデアを温めています。「空想病」というテーマはコメディー側にもシリアス側にも振れる万能ネタで、担当としても楽しみです。ドタバタコメディー版はファミ通文庫公式ウェブマガジン「FBonline」で短編を2作掲載してきましたが、いずれも傑作です(笑い)。今後も短編発表をもくろんでおりますので、そちらもご期待ください!
エンターブレイン ファミ通文庫編集部 衣笠辰実
◇連載情報など
空色パンデミック 本田誠著、庭画 エンターブレイン 1~2巻(8月に3巻発売予定)
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