米ラスベガスで23日(米国時間)開かれた“世界一の美女”を決めるコンテスト「ミス・ユニバース」世界大会に日本代表として出場した板井麻衣子さん(26)は、惜しくもトップ15には残れなかったが、現地時間の7日に現地入りし、各国の代表らと送った共同生活などについて「楽しかった」と振り返っている。板井さんに世界大会の思い出や、女性の美しさ、これからの目標、11年の日本代表を目指す女性たちへのアドバイスなどを語ってもらった。(毎日新聞デジタル)
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−−現地はいかがでしたか。
(23日の世界大会の)ステージまでの2週間を含めると、本当にエキサイティングなものでした。83カ国の女の子たちが世界中から集まってきて2週間生活を共にするのは、本当に楽しかったですね。
−−毎日のスケジュールを教えてください。
本当にタイトだったんです! 朝6時から撮影がある日は4時に起きて、ヘアメークを自分でしなきゃいけなかったし、夜はいろんなパーティー、イベント、レセプションなどいろんな所に参加をして盛り上げるっていう役割があって、(ホテルに)帰ると午後11時半とか深夜0時で。それからお風呂に入って寝たら深夜1時半とかで……。一見、パーティーでイブニングドレスを着てきれいにお化粧をして楽しそうに笑ってますけど、実際はすごくハードで体力のいるもの。美しさのコンテストなんですけど、まず健康であることと、自分の体や体調を維持してコントロールできるっていうのが大事ですね。
−−各国代表の様子は。
コンペティションなので、最終的にはジャッジの方に審査をされて、得点を付けられ、1位が決まる。みんなの根本の中には「勝ちたい」っていう気持ちがあって、すごくその気持ちを持っている子もいたし、楽しみたいと思ってきている子もいました。いいと思っていることを表現することが第一で、(それに対して)ジャッジをされることは「仕方ないよね」と(各国の代表と)話す機会がたくさんありました。それぞれがその場所にきていることをハッピーに感じているし、その国の代表できていることを誇りに思っていました。
−−板井さん自身は、どんなことを感じていましたか。
お国柄とか、言葉とか、いろんな個性が集まった中で、「日本人の板井麻衣子です」って言える環境は、この先なかなかないだろうなと思いながら日々を過ごしていて、日本人の繊細さ、周りに対する気配り、優しさとかは世界の子たちの中にいても保っていたいなとすごく思いました。そういうことを感じて学べたのは、大きかったです。また、恵まれている国ではない所から来るミスもいる。彼女らは本当に夢を託してきていて、日本がどんなに恵まれているかも感じたし、いろんな思いがありました。
−−繊細さを大事にしたいと思った理由は。
(日本人よりも)もっとざっくりしてるんですよね。それが悪いとかそういう意味ではなくて、それは彼女たちの個性だし、パワフルさだし、自分をまず主張するところから始まる文化だと思うので、それはそれで学ぶところがありましたし、(自分の)ウイークポイントだと感じることもありました。その半面、自分しか持っていないものと感じられたのがそういう(繊細さ、優しさなど)ものだった。日本人ならではのものは、すごく意識できたかなと思います。
−−ハードな生活の中で、大切にしていたものはありますか。
家族と(ナショナル・ディレクターの)イネス(・リグロン)と、オフィスの方々とできるだけ連絡を取るように心がけました。特殊な状況にいるので自分(の内面)が離れてきちゃうときがあって。そういうときは、これまで一緒にいた人とか自分のことを理解してくれている人とかと話をすることで、また「よし!」ってなれるので、大会中、意識的に(連絡を)するようにしていました。1日に1回とか2日に1回とかですけれど。
−−現地で印象的だったことは。
最初の撮影で、体中に桜の花を描くボディーペインティングをしました。(撮影では)トップレスでバストを腕で隠しているんですけど、からだから桜がずっと続いているような(絵柄で)。(撮影前は)ビキニ撮影だと聞いていたんですが、クリエーティブディレクターに呼ばれて、モデルの子がトップレスでボディーペインティングをして写っているサンプルの写真を見せてもらって「こういうのを麻衣子でやりたいと思うんだけどどう思うかな」と投げかけられました。その写真自体がすごくきれいなものだったので「お?」と思いながらも「やってみたい」という決断をして臨んだ撮影でした。
−−承諾した理由は。誰かに相談しましたか。
サンプルの写真が自分の中で納得のできるきれいさだったので、自分の決断で。「日本のオフィスに電話して確認する?」とも言われたんです。でも私は「(電話は)いいです。やります」と言って。そうした方が絶対美しいものができるって思えたから普通にやれたんだと思います。でもそんな自分に対してびっくりしている自分もいましたけど。
−−ほかのミスも同じような撮影を?
結局、私を含めて4人ぐらいが(トップレスのボディーペインティング撮影を)やりました。(その撮影をしたのは)24~25歳ぐらいの年齢の子で、若い子はしていないです。「自分のことを自分で決断できて、責任をもてる年齢の子じゃないと……」ということだったんだと思います。そもそも声をかけられた子が少なかったんですが、USA代表は背中にしか描かないというように、背中だけで撮るならいいと言った子もいましたね。
−−周りの反応は。
ミス・ユニバースは(セクシーなものに対して)繊細な反応をするので、けっこう物議を醸した写真でした。(保守的なメディアも)たくさんいて、それについてインタビューもたくさん受けました。「どうしてそういうことをしなきゃいけないんだ」「なんでしたの?」って。「アートなんです」って説明しないと分かってもらえない方々がたくさんいたので、「これは性的な美しさではなくて、アートの中の一つとしてやったんです」と説明をしたんです。
−−出来上がった写真はどうでしたか。
すごくアーティスティックなものでした。面白かったなと思ってます。「Glamshot」というタイトルでした。
−−世界大会を経験して、改めて女性の美しさはどういう部分だと思いますか。
決して「こうだ」と言えないもの。例えば各国の代表が集まっても、みんな個性的で魅力的。それぞれに違う意見を持っていて、それぞれが「こうだ」と思うところに突き進んでいる。その姿が一番美しいんじゃないかと思います。自分を信じて、自分の家族とか友達とか自分が大切だって思う人を信じて、「自分はこうだからこういうふうに進んでいきます」っていうことを伝えられること、それが美しいかもしれないですね。
−−これからやりたいことは。
食に関すること。その勉強はできる範囲内で進めていきたいなと思っていて、それを発信できるようになりたいです。自分が信じていること、美しいと思うことを表現する機会を持ち続けていられたらと思います。(発信することが)仕事になれば幸せですね。でもそこにとらわれることなく、(興味があることに)投資をすることに関して抵抗はないし、そうしたいと思います。そうすることで、出会いとか、新しく分かることもあるかもしれない。それをずっと続けていけたらと思います。
−−11年のミス・ユニバース日本代表を目指す方にアドバイスを。
私も全国(のオーディション)を回って、できる限りの女の子に会いたいと思っています。自分のいいところだと思うことを掲げてきてほしい。敷居を高く感じることもないんです。私だって、応募したときはファッションのこともメーキャップのことも知らないし、「ウオーキングとかポージングって何?」っていう状態。それが今ここまで成長できたので「マイナスからスタートしなくていいですよ」って、まずは言いたいです。ただ、日本代表になることを目標にしてほしくない。漠然とでもいいから、その先を考えて来てくれたら面白いし、そうでないと(日本代表に)なってからが大変だと思う。ミス・ユニバース日本代表には(やってみたいことに)縛りがないのが面白さだと思うので、どんなふうに考えても、どんなふうにアピールしてもいい。そのままの自分で、何も覆い隠さなくていい。持っているものは「持っている」って自信を持って言えばいいし、持っていないものは持っていないと言えばいい。リラックスして、ありのままの姿で(オーディションに)来てほしいなと思います。
<プロフィル>
いたい・まいこ。84年5月21日生まれ。大分県臼杵市出身。AB型。身長173センチ。上智大外国語学部ポルトガル語学科卒業。大学在学中、ポルトガルに1年間留学した経験を持つ。09年12月まで大分市役所に勤務。約4000通の応募者の中から、幾度かの選考を経て「ミス・ユニバース・ジャパン」に選ばれた。
◇ミス・ユニバース
世界80カ国以上の代表が参加し、女性の内面や外見などトータルな美しさを競い、“世界一の美女”を決定するコンテスト。52年に米カリフォルニア州ロングビーチで始まった。日本代表は、07年に森理世さんが世界大会で優勝、06年に知花くららさんが世界大会2位、08年に美馬寛子さんがトップ15入りしている。今年の世界大会は、米ネバダ州ラスベガスで開催され、83カ国の代表が参加し、1位はメキシコ代表、2位はジャマイカ代表、3位はオーストラリア代表となった。現在、11年の日本代表オーディション参加者を募集中で、予選は東京・大阪・北海道・仙台・静岡・名古屋・福岡・沖縄で行われる。応募の締め切りは9月30日。詳細はミス・ユニバース・ジャパン公式サイトで確認できる。