難病ものとしては異色作だ。不治の病の少年を主人公にしながら、とてもチャーミングな作品「100歳の少年と12通の手紙」(エリック・エマニュエル・シュミット監督)が公開中だ。ファンタジックな色彩とミシェル・ルグランの音楽に彩られ、「人生」が描かれるあたりが、いかにもフランス映画らしい。「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」のシュミット監督が重いテーマを可愛らしい映画に仕立てた。
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10歳のオスカー少年は、白血病で小児病棟に入院中。本当のことを教えてくれない医師や両親に心を閉ざしている。あるとき、オスカーは病院に配達にくるピザ屋のローズと知り合った。ローズには口を開くオスカー。病院長はローズに「オスカーの相手をしてほしい」と頼むが、慈善が嫌いなローズはいったん断る。しかし、ピザの配達を条件に依頼を引き受けることになり、オスカーは元プロレスラーのローズから試合の話を聞くのに夢中になる。ある日、自分の余命があとわずかだと知ってしまったオスカー。落ち込むオスカーにローズは「1日を10年だと思って過ごすことと、神様に手紙を書くこと」を提案する……というストーリー。
少年の入院生活を描いた映画に違いない。だが少年の個人の物語ではなく、人生をユーモラスに語っている。オスカーは同じ小児病棟に入院しているペギー・ブルーに恋をし、告白。そして結婚(したつもり)。浮気疑惑……。病院内でオスカーが体験していくことが、アンティークな雰囲気の可愛らしい色彩の中で、ほほ笑ましくつづられていく。
一方、オスカーの相手をする女性、ローズは実に個性的な人物だ。少々荒っぽく、言葉も辛らつで、なかなか斬新なキャラクターだ。優しげなおばさんによるボランティアではないところに注目してほしい。優しさの押し売りではないからこそ、オスカーの心を開かせたのかもしれない。両親を心配するオスカーにひと言、「両親もいつか死ぬのよ」。でも「毎日をその日初めてのように生きるのよ」など名言も多い。
やがてオスカー少年は、ローズのかたくなだった心を溶かしていくだけでなく、息子の病気を受け入れられない両親の心にも影響を与えていく。1人の少年の生きざまから、死は生の延長であるというテーマが伝わってくる。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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