藤原紀香:「努力して“ちょっと無理め”を目指したい」 ミュージカル「マルグリット」で主演

女性が輝き続けるには「好奇心とイマジネーションが大事」という藤原紀香さん
1 / 1
女性が輝き続けるには「好奇心とイマジネーションが大事」という藤原紀香さん

 この夏、中国・西安で楊貴妃の足跡をたどるドキュメンタリー番組「伝説の美女 楊貴妃~藤原紀香 西安1300年紀行~」を撮影した女優の藤原紀香さん。「旅をすることが最高の息抜き」という藤原さんは「たとえ仕事で行ったとしても、旅をフル活用して、存分に楽しんでくるんですよ。今回も香港や台湾にも足を延ばしてエネルギーチャージしてきました」と笑顔で語った。普段から「自分の実力では今ならちょっと無理めなものに努力してスキルを上げてやり遂げたい」と、120%の力で臨むという藤原さんは、来年3月に本格ミュージカル「マルグリット」に挑む。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

あなたにオススメ

 藤原さんは、旅に出て現地の文化に触れたり、初対面の人に会うと、いつも新しい発見があるという。「神社・仏閣はもちろん、地元の文化的な場所に出かけて、初めて会う人たちに触れ合うと、日本でこれまで見てきたものが、また全然違って見えたり、ひょんなところで日本と似たものを見つけたりして面白いですね」と好奇心をくすぐられるという。また、かねてから続けている途上国の子供たちへの支援も「ライフワークにしたい。誰かにいわれてやっているわけではなくて、やめろといわれても続けるでしょうね(笑い)」と意欲的だ。

 「現地で子供たちと遊んだり、将来の夢を聞いたりしていると、すごくエネルギーを感じるんですよ。この子たちは私たちにはまねできないような過酷な環境にいるのに、こんなにもエネルギッシュだと。私なんてまだまだ甘えているし、恵まれているのに不平不満をいってしまう。これじゃだめだと思うんですよ」と我が身を振り返る。そして「いつも胸の中にあの子たちがいるんです。この間もアフガニスタンに行ったときに出会った子が、ハンカチやスカーフにいっぱいししゅうをして送ってくれたんですね。彼女たちはそういうもので収入を得ていると教えてもらったんです。一度訪れた国はそれで終わりじゃなくて、その国の成長も見てみたいし、子供たちの思いも伝え続けたい」と、学校や施設を作るための募金活動を呼びかけるため、メディアで発信し続けている。

 自身の性格を「集中力があって、一つのものを完成させるために意志を貫く情熱は非常にあると思います。裏を返すと短所は、ときにもう少し力を抜いてリラックスすることも大事なんじゃないかということですね。事務所が私のこれまでのイメージに合ったいわゆる“安全パイ”の役を持ってきてくれたとしても、私はそこでは生きられない。それじゃ生きている感じがしないんです」と分析する。つねに全力投球、いや全力以上の力を出そうと努力する。「いまの自分の実力じゃちょっと無理め、というものに対して努力してそこまでスキルを上げたいと思う」理由は、阪神大震災を経験したからではないかという。「いつ死んでも後悔しないようにという生き方なんだと思うんですよ。そうじゃないと充実感が得られない」と力を込める。

 3月に主演するオペラ「椿姫」をベースにしたミュージカル「マルグリット」の出演を決めたのもそういう流れだった。「今回ミュージカルは3作目なんです。それでこんな素晴らしい役をもらえた。私は最初、『今の私の実力では絶対にできない』と半泣きになって、断ろうと思ってニューヨークにいる演出家に会いに行ったんですね。全員フランス人のクリエーターで、『ミス・サイゴン』などを世に送り出したスタッフなんですけど、『君が20年間お芝居をしてきたものをベースに、そこから生まれる女性の歌を引き出してくれればいいから』といってもらえた。『シェルブールの雨傘』も手がけた人たちで私は子供のころからあの曲を聴いて育ってきたのでとても光栄で、これはすごくレベルを上げなくてはならないけれど、時間はまだあるので、『やってみせます』と承諾して帰ってきてしまったんですね」と持ち前の不屈の闘志がわき、出演を決めた。

 最後に、女性が50、60代になっても輝き続ける秘訣(ひけつ)を聞くと、「好奇心とイマジネーションを持ち続けること」という答えが返ってきた。「私もこの二つはいつも持ち続けたいと思っています。それが前に進む原動力になっているんです。仕事で壁にぶち当たっても、プライベートで悲しい出来事が起こっても、ここがどん底なんだと考えるようにしているんですよ。ここまで苦しいことはもうないはずだ、神様がいたとしたら自分に乗り越えられない試練は絶対に与えない、と。神様はその人のギリギリ乗り越えられるハードルを渡すんだとインドに行ったときに聞いて、苦しいときもこれは頑張れば乗り越えられるんだと感覚をチェンジしたんです。これってイマジネーションじゃないですか。そして好奇心を使って良い方向に持っていけるような情報を集める。美容についてもそうですし、家族に長生きしてほしいという思いなどもそう。生きていくためにはこの二つはとても大事だと思います」と力を込めた。

 <プロフィル>

 1971年6月28日、兵庫県出身。92年、大学在学中に「第24回ミス日本グランプリコンテスト」に応募しグランプリを受賞。93年に東レ水着キャンペーンガールを務める。97年に映画「CAT'S EYE」で長女の泪(るい)を演じ、その後も00年に香港映画「SPY_N」に出演。01年の米劇場版アニメ「シュレック」の日本語吹き替え版でフィオナ姫役の声を担当。同シリーズ第4弾で最終章となる「シュレックフォーエバー」は12月18日に全国で公開される。ドラマは98年に「ハッピーマニア」に出演、99年に「ナオミ」で初主演。その後も01年に「昔の男」、05年は「大奥~華の乱」、10年に「チャンス」などに出演。中国・西安に長期間滞在し、楊貴妃ゆかりの地を訪ねたドキュメンタリー番組「伝説の美女 楊貴妃」は、14日にBS朝日の開局10周年記念番組として放送された。ミュージカル「マルグリット」は11年3月11~28日に赤坂ACTシアター(東京都港区)で全24公演を予定。

芸能 最新記事