注目映画紹介:「ノルウェイの森」 松ケン、凛子が孤独や喪失感を抱えた登場人物を体現

「ノルウェイの森」の一場面 (C)2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン
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「ノルウェイの森」の一場面 (C)2010「ノルウェイの森」村上春樹/アスミック・エース、フジテレビジョン

 87年に刊行された村上春樹さんのベストセラー小説を、「青いパパイヤの香り」(93年)や「夏至」(00年)、「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」(08年)などで知られるトラン・アン・ユン監督が映画化した「ノルウェイの森」が11日に公開される。主人公のワタナベを演じたのは、11年1月には「GANTZ 前編」の公開を控え、12年はNHK大河ドラマ「平清盛」で主演が決まった、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの松山ケンイチさん。相手の直子役に菊地凛子さん。また、モデルとして活躍し、今作が演技初体験となる水原希子さんらが出演している。

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 高校時代に親友キズキ(高良健吾さん)を自殺で失ったワタナベ(松山さん)は、東京の大学に進学し、キズキの恋人だった直子(菊地さん)と偶然再会する。2人は付き合い始めるが、直子の喪失感は癒やされることなく、やがて彼女は京都の療養所に入院してしまう。そんななか、ワタナベの前に緑(水原さん)という奔放な少女が現れる……という物語。

 ワタナベが直子と過ごす草原の風景や、60年代後半の雰囲気を切り取った暖色系の映像は、美しい半面どこか息苦しく、それは孤独や喪失感にさいなまれる登場人物たちに共通した閉塞(へいそく)感をもたらしていた。そのため、個人的には物語の中にどっぷりと入り込むことができなかったが、トラン監督は原作に忠実であることを心掛けつつ、自分なりの新しい「ノルウェイの森」を作り上げることに腐心したというので、原作のファンなら、小説との相違点を見いだすなどしながら映画に心酔できるかもしれない。11日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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