長野県の山中に「ユクモ村」が出現−−。開湯1300年の歴史を持つ長野県山ノ内町の渋温泉が、人気ゲームソフト「モンスターハンターポータブル3rd」に登場する村に装いを変えた。ゲームの人気にあやかった町おこしのためのタイアップ企画で、発売17日間で300万本を出荷し今年のクリスマス商戦を席巻しそうなゲームの勢いを得て、宿泊予約の受け付けも好調といい、11日の宿泊予約受け付け開始からわずか3日で埋まったプランもあるという。
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企画は、山中で和の雰囲気を強く残した同温泉郷の雰囲気が、ゲームの世界観に似ていることから、開発・発売元のカプコン側から打診したのがきっかけ。由緒ある地元では、人気ゲームとのタイアップに議論もあったが、年間13万人の宿泊客数は、近年の不況で下降気味。タイアップで新しい風を吹き込み、家族連れや若い世代を取り込もうと企画に乗ることになった。地元の同企画への期待は大きく、11年1月10月までの期間中、例年よりも3000人の宿泊客の上乗せを目指している。
ゲームに登場する村のイメージカラーと同じ赤色にするため、地区の家々は赤い幕を張り、町の各所にモンスター「ジンオウガ」の巨大展示物を設置。ゲーム開発者が監修したおやきや山菜そば、アイスクリームなど多数のメニューを用意するなど、ゲームの世界観を再現した。また現地では「ユクモパス」(2800円)が販売されており、購入者には、手作りの皮ストラップのプレゼントがあるスタンプラリーに参加でき、町の各所に設けられた休憩所でゲームを楽しむことができるほか、特製メニューの値引きなどのサービスがある。長野電鉄は、長野駅から渋温泉の最寄り駅の湯田中駅まで約45分(約33キロ)を結ぶ「モンハン特急ゆけむり号」を運行している。
ゲームやアニメを使った町おこしとしては、アニメ「らき☆すた」の埼玉県鷲宮地区、ゲーム「ラブプラス」の静岡県熱海市、マンガ「かんなぎ」の宮城県七ケ浜町などの取り組みがある。今回の渋温泉も既に予約だけで半分が埋まっており、既に一定の成功を得ており、例年閑散期となる来年1月4日以降の集客数が大成功のカギを握りそうだ。関昇・渋温泉旅館組合長は「来場者数に期待している。まずはイベントを成功させたい」と話している。
「モンスターハンター」は、プレーヤーがハンターとなって、砂漠や密林などさまざまなフィールドで巨大なモンスターを狩り、獲物からはぎ取った素材で、武器や防具を生産、強化していくアクションゲーム。第1弾は04年にPS2向けのオンライン対応ゲームとして発売されて中規模の人気ソフトだったが、PSP向けに発売された「モンスターハンターポータブル」シリーズが、友達と一緒に遊べる通信機能を武器に大ヒット。「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」「ポケットモンスター」シリーズに並ぶ売り上げ数を記録し、日本を代表する人気ゲームの地位を確立した。(毎日新聞デジタル)