ユースケ・サンタマリア:移植コーディネーターを熱演「終わったときはぼろぼろに」 

WOWOWの連続ドラマ「CO 移植コーディネーター」に出演中のユースケ・サンタマリアさん
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WOWOWの連続ドラマ「CO 移植コーディネーター」に出演中のユースケ・サンタマリアさん

 吉岡秀隆さん主演の連続ドラマ「CO 移植コーディネーター」(WOWOW)が放送されている。臓器提供者(ドナー)と移植患者(レシピエント)を調整する移植コーディネーター(CO=シーオー)にスポットを当てた本格的な医療ドラマだ。熱い主人公とは対照的に、常に冷静で、時に冷徹にすら見えるCO・倉本和史を熱演した俳優のユースケ・サンタマリアさんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 10年7月の改正臓器移植法施行で、家族の承諾があれば15歳未満の脳死臓器移植も認めれるようになった。ドラマは、COの大野達郎(吉岡さん)が、法改正という変化の中で、さまざまな思惑に振り回されながらも、国内初の6歳の心臓移植を成功させるまでの物語。“子供の虐待問題”や “利権を狙う病院側の陰謀”といった問題が浮かび上がる臓器移植をテーマに、リアリティーあふれるスリリングな社会派ドラマと、かけがえのない命にかかわる人々の葛藤や闘いを描いた人間ドラマでもある。

 ユースケさんは「すごいメッセージ性のあるドラマ。これは下手は打てないなと思った。確実に失敗できないし、全員が一丸とならないといけないと思った」と語る。それでも、「ヒリヒリした現場に飢えていたし、やるからには極限状態にまで追い込まれる、エモーショナルな現場に身を置きたかった」と明かし、「終わったときにはぼろぼろになっていたけれど、すごく充実感があった」と振り返る。

 倉本は家庭よりも仕事優先、合理的に仕事に取り組む、冷徹な“仕事人間”といった役どころで、ドナー家族に寄り添いながら仕事に励むCO・大野(吉岡さん)とは正反対と言える。「端から見たら冷酷で、マシンみたいな男。視聴者からはひんしゅくを買うくらいかもしれない」と語るユースケさん。

 アドバイザーとして参加した実際の移植コーディネーターとも対面し、「結構普通の人でした。でも、いざ仕事の話になると、やっぱり真剣というか、モードが切り替わる。倉本のように合理的になるというのはあるでしょうね。仕事をやっていくうちに、感情みたいなものはシャットアウトするとかね。だからこそ、倉本は大野の苦しいことを理解できるんだと思う」と分析する。

 ユースケさんは「つらいシーンの連続で、ドナー家族と常に対峙(たいじ)しなくてはいけない。芝居とはいえ苦しかった。それでも大野がいつも寄り添ってくれていた気がする。2人で受け止めるというか、2人で一人前みたいな感じですよね」と語り、「どこかすごく集中できたのは、吉岡くんのおかげだと思う。すごく楽しく、厳しくやれました」と充実した表情を浮かべた。

 ドラマを通じて、ドナーやレシピエント、COや病院、さまざまな立場のさまざまな意見、考えを目の当たりにした。だからこそ、臓器移植の是非については、「分からない。答えは出ないという結論に達した」と明かす。「いろんなことを考えるきっかけになるドラマだし、そういうドラマに参加できたことは自分の中でもすごいことだと思っています」。バラエティー番組での表情とは違う、深みを増した“俳優ユースケ・サンタマリア”の演技に注目したい。

 ドラマには、ユースケさん、吉岡さんのほか、木村佳乃さん、矢田亜希子さん、尾野真千子さん、板谷由夏さん、豊原功補さん、橋爪功さんらも出演。全5話。3日には第3話が放送予定。毎週日曜午後10時から。(毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 ゆうすけ・さんたまりあ 40歳。大分県出身。ラテンロックバンド「BINGOBONGO」のボーカル・司会として94年にデビュー。バンド解散後の97年、ドラマ「踊る大捜査線」(フジテレビ系)に真下正義警部補役でレギュラー出演。これを機に活動の幅を広げ、ドラマや映画、バラエティー番組などに多数出演、ソロCDやエッセー集も発売しており、マルチな才能を発揮している。05年公開の映画「交渉人 真下正義」では、第29回日本アカデミー賞優秀主演男優賞も受賞した。

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