俳優の塩谷瞬さん(28)が17日、東日本大震災で被災した人々を支援するため宮城県松島市や塩釜市の避難所や集落を訪れ、炊き出しで500人分のちゃんこ鍋を提供した。福島県で被災した友人や仙台出身の友人らと発足したボランティア団体「TUNAGARI(つながり)」などで被災地の支援活動を行っている塩谷さんは「(被災地に対して)何かしたいと思ったら、いいと思う活動を応援して、自分の思いを預けてほしい。お金がある人はお金、知恵がある人は知恵、時間がある人は時間を提供して。家にいても(支援活動への)メッセージを送ってもらえれば、その意見を背負って活動ができる。その思いがつながって現地の人に応援がいけば力がわくと思う」と呼びかけている。
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塩谷さんは石川県出身。15歳で俳優を目指して上京し、02年に俳優デビュー。05年の映画「パッチギ!」で日本アカデミー賞新人賞を受賞した。映画、テレビドラマ、舞台など幅広く活動する傍ら、開発途上国の実情を訴えて市民参加型の国際協力活動を推進する活動「なんとかしなきゃ!プロジェクト」に参加するなど、ライフワークとして国内外でボランティア活動を続けている。
塩谷さんは震災の翌日、自転車で東京都内の避難所を回ってカイロや防寒シートなどを配るなどの支援を始めた。シンガー・ソングライターのGACKTさんが設立した義援金基金「SHOW YOUR HEART」の活動にも参加し、3月31日には東京・新宿で街頭募金を行った。ドラマの撮影の合間をぬって自己資金で「TUNAGARI」やアパレルの仲間、映画監督やカメラマンの仲間などが行っている支援活動に参加し、4月3~5日には福島県いわき市、郡山市、南相馬市、相馬郡新地町、仙台市、宮城県南三陸町などの避難所や集落を訪れ、カレーなどの炊き出しや物資の運搬、子供たちとの交流などの支援活動に参加した。
塩谷さんは今回の訪問地の様子を「活気があって、『写真を撮って』と声をかけてくれる人もいた。エネルギーがすごく大きかった。(震災後)初めて温かいものを食べたという人もいた」と振り返った。また避難所や集落で、物資の配給の不均衡が起こっていることや、自治体からのケアが行き届いていない地域や時間帯があることを目の当たりにし、「僕らはそこを補っていきたい。(街の人の意見を)僕らが各自治体に掛け合って現状を変えていければ」と話している。
塩谷さんは自身のブログで「自分は個人プロジェクトとして、みんなが笑える毎日を作るために、災害支援活動、教育、インフラ整備、雇用問題を、応援します。人と人をつないで、見えて来ること、20代の人間としてどう向き合ってどう考えるか行動して伝えて行きます」と宣言。長期にわたって支援活動をしていく意思を示し、「僕の目指す、俳優と、制作者とは、今や歴史と未来を見て、考え、人間業としてどう人間の軌跡を表現して芸術作品を作っていくか?っていう人間業なんです」と記している。今後、企業なども巻き込んだプロジェクトも立ち上げる予定。(毎日新聞デジタル)