藤原竜也:三谷幸喜に感謝「危険な賭けに乗ってくれた」 舞台「ろくでなし啄木」で3人芝居

舞台「ろくでなし啄木」の一場面 撮影:渡部孝弘
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舞台「ろくでなし啄木」の一場面 撮影:渡部孝弘

 俳優の藤原竜也さんが歌人の石川啄木を演じ、今年1~2月に上演された三谷幸喜さん作・演出の舞台「ろくでなし啄木」が、WOWOWで4日に放送される。脚本家の三谷幸喜さんは11年に50歳という節目の年を迎え、舞台4本、映画1本、ドラマ1本、小説1作と、4ジャンルで新作7作品を発表し、自らの生誕50周年を盛り上げる「三谷幸喜大感謝祭」を企画している。そのトップを飾る作品「ろくでなし啄木」で主演した藤原さんと、啄木の友人・テツを演じた歌舞伎俳優の中村勘太郎さん、啄木の元恋人・トミを演じた舞台初挑戦の吹石一恵さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 物語は、藤原さん演じる石川一(はじめ=啄木の本名)の死後10年がたち、テツ(中村さん)が一の歌碑の除幕式に訪れたところから始まる。テツのもとにトミ(吹石さん)が現れ、12年前に起きた事件の真相を教えてほしいと迫る。2人は明治42(1909)年の春、仙台市近くの温泉宿に3人で訪れた夜のことを語り出すが、テツは「あなたはあの夜の一面しか知らない」とトミに意味深なセリフを投げかける。それぞれの視点から「あの夜」の出来事がふりだしに戻って再現されていく……。

 脚本家であり演出家でもある三谷さんについて、勘太郎さんは「台本は毎日10ページとか、5ページとかファクスで来るんですけど、やっぱり楽しみでしたね。後半になるにつれて、3人なのでせりふ量も半端ないじゃないですか。だから、他人のせりふを読んでいて『あ、この人かわいそうだな。こんなにしゃべらなくちゃいけないんだ』とか思いながら、読んだりしてましたね」と話した。三谷さん演出の芝居は初めての藤原さんは「新鮮でした。演出家としても今までにないタイプの方」と印象を語った。

 今回が初舞台となった吹石さんは「三谷さんの書き下ろし、3人芝居、勘太郎さんと藤原さんとの共演のすべてがすごすぎて。最近(取材は舞台公演中)になってやっと、私はとんでもないことをやらせてもらっているのだということを認識し始めました」と話し、けいこには「ついていくことに必死でした。けいこ場に行ったら、(共演の)2人はほとんど頭に入っていて……。パニックになってしまいました。初体験だらけで、本当に無我夢中で今日まで来たって感じです」と苦労を語った。

 けいこ場では3人のアイデアが採用されることも多かったといい、藤原さんは「面白く、くだらないことを真面目にやることの難しさが今回はすごくありました。また自己を開放していく作業が求められていたので、もう立ち止まっている暇はないですね。考えるより、どこまで可能性が広がるのか……」と振り返った。3人芝居について、勘太郎さんは「やっぱりテンポってすごく大事だと思いましたね。その前のテンションとかテンポのまま行かなきゃいけないので」と話した。藤原さんは「やっぱり楽しい。3人しかいないので、動き回る量とか、せりふの量とかは多いし、誰かがバランスを崩してもいけないし。でもなんだかんだいって、3人だから成立する舞台ではあったなと思います」と演じる楽しさを語った。

 三谷さんに対して、藤原さんは「本当に危険な船というか、若者の無謀な、というか危険な賭けによく乗ってくれたな」と感謝し、勘太郎さんは「本当にすごい人なんだなと思いましたね。三幕が出来上がったときなんて、結構ひそかにすごく感動したりしていたので。やっぱりすごいものを生み出してくるし、演出も難しいことを言うんですけど、それも楽しんでいたりして、やっぱりすごい人なんだと思うんです」と感心していた。吹石さんは「いつか三谷さんで(初舞台を)踏みたいという私の夢をかなえてくださって、本当にありがとうございました。すごいことをやらせていただいているんだ!ということを日々感じながら、頑張っています。『50年後も仕事を一緒にしたい』と言ってくださったので、これから50年間は頑張っていこうと思っています」と熱い思いを語った。舞台「ろくでなし啄木」は、4日午後6時15分からWOWOWでハイビジョン放送される。(毎日新聞デジタル) 

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