注目映画紹介:「ホームランが聞こえた夏」 聴覚障害を持つ高校生のスポ根野球映画

「ホームランが聞こえた夏」の一場面 (C)2011 CJ Entertainment Inc.All Rights Reserved
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「ホームランが聞こえた夏」の一場面 (C)2011 CJ Entertainment Inc.All Rights Reserved

 ろう学校高等部の実話を基にした韓国の青春映画「ホームランが聞こえた夏」(カン・ウソク監督)が公開中だ。カン監督が俳優のチョン・ジェヨンさんと4回目のタッグを組んだ。さわやかでド根性な青春物語をここまでまっすぐに描けるのも韓国映画ならでは。やんちゃなプロ野球投手と元中学野球のエース、夢に破れた二つの魂が交錯する。

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 ミョンジェ(チャン・ギボムさん)は中学野球のエースだったが、試合中に突然聴覚を失ってしまった。ろう学校のソンシム高校に進んだものの、野球という夢を失い、学校もさぼりがち。ゲームセンターでいさかいを起こし、警察に捕まってしまう。一方、プロ野球界最高の投手だったキム・サンナム(チョンさん)は、飲酒による暴行事件を起こして球界から追放されかかっている。マネジャーの尽力で、名誉挽回の機会が与えられた。それはミョンジェのいるソンシム高校で野球部の臨時コーチをすることだった。寄せ集めの弱小野球部のコーチ業に気乗りがしないサンナムだったが、ある日、投球練習するミョンジェを目にして……という物語。

 聴こえないがゆえにチームプレーが苦手な聴覚障害の高校生たちが高校野球大会を目指す、という分かりやすいストーリーなのに、全く単調ではない。登場人物にこれでもかと試練を与える、というのは韓国ものの定番だが、やり過ぎ感がなくリアルで、素直に聴覚障害者とスポーツについて考えさせられる。主人公のサンナムが人間くさくて魅力的だ。とにかくサンナムの名語録の数々がドンと胸に響いてくる。「同情されたらヤル気をなくすだろう」「踏みにじっても、立ち上がるチャンスを奪っちゃダメだ」などなど。スポ根全開でいながら、挿入曲とエンディング曲が妙にK-POPアイドル調で女子映画っぽい。シネマート新宿(東京都新宿区)、銀座シネパトス(東京都中央区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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