乙葉しおりの朗読倶楽部:第47回 オー・ヘンリー「賢者の贈り物」 “賢者”の意味は?

「賢者の贈り物(新装版)」(講談社)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「賢者の贈り物(新装版)」(講談社)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第47回はオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 ついこの前にまだ暖かいというお話をしたぱかりでしたが、雨が降って以来急に冷えんで、コートが欠かせなくなってしまいました。

 日が暮れるのもすっかり早くなって、朗読倶楽部の活動時間も自然と短くなってしまうのがつらいところです(>_<)

 季節の変わり目って本当に急にやってきますけど、勤労感謝の日も過ぎて、11月ももう終わりですから当然なのかもしれませんね。

 ところでこの時期、多くの著名な作家さん達がお誕生日を迎えているのはご存じですか?

 ここで作品名と一緒にご紹介させてください。

 まず11月21日は「キャプテン・フューチャー」などで知られるSF作家エドモンド・ハミルトンさん。

 24日には「ピノッキオの冒険」のカルロ・コッローディさん、「小公子」「小公女」のフランシス・ホジソン・バーネットさん。

 28日は「おはん」の宇野千代さんと、「マリー・アントワネット」のシュテファン・ツヴァイクさん。

 29日は「若草物語」のルイーザ・メイ・オルコットさん。

 そして30日は「ガリヴァー旅行記」のジョナサン・スウィフトさん、「トム・ソーヤーの冒険」のマーク・トウェインさん、「赤毛のアン」のルーシー・モード・モンゴメリさん、「アーケイディア」のフィリップ・シドニーさん、「三つの棺(ひつぎ)」のジョン・ディクスン・カーさん……。

 どうですか?

 皆さんよくご存知の作品が、どれかひとつは必ず入っているんじゃないでしょうか。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……二度目の大会出場の想い出、第三回です。

 「あなたたちはどうしてこの大会に参加しているの?」

 その問いに対する答えは、もちろん倶楽部を存続させるための実績を作ることでした。

 でも、それは同時に純粋な気持ちで大会に望んでいないことを見透かされたように感じて、私の心に刺さったのです。

 私はまじめに大会に臨んでいる人たちに対して、とても失礼なことをしているのかもしれない。

 そう思い至ってしまうと、部長さんとみかえさんに話を聞かずにはいられませんでした。

 みかえさんいわく、

 「参加の理由は人それぞれだし、実績目当てだからといって私たちが不まじめに参加しているわけじゃないと思う」

 確かにその通りです……練習を重ねて、夏合宿もして、この場に望んでいるのですから。

 一方、部長さんはとてもうれしそうです。

 「あれがライバルというものね!」

 あの他校の出場者さんの一言は、ライバルとして宣戦布告をしてきたんだと言うんですけど、それってうれしいことなんでしょうか?

 「だって、あたしたちもライバルとして認められるくらい成長したってことでしょ?」

 その一言に私とみかえさんは思わず笑みをこぼしました。

 それと同時に、心の中のわだかまりもきれいに消えていたのです。

 ……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 オー・ヘンリー「賢者の贈り物」

 こんにちは、今回はアメリカの作家オー・ヘンリーさんの代表作の一つ「賢者の贈り物」をご紹介します。

 1906年に発表された短編集「The Four Million(四百万)」の中の1編として収録されているこのお話、日本でも学校の教科書などを通してご存じの方が多いのではないでしょうか?

 これは、クリスマスプレゼントにまつわる、ある若い夫婦のお話です。

 ジムさんとデラさんは、お互いを尊敬し合えるとてもすてきな夫婦でしたが、その生活はとても貧しいものでした。

 妻のデラさんは夫のジムさんにプレゼントを用意したくて、ツメに火をともすようにしてお金をためましたが、集まったのはわずかに1ドル87セント。

 これでは何も買うことができません。

 そんな貧しい家庭でしたが、誰にでも誇れる宝が二つありました。

 一つは、ジムさんが祖父の代から受け継いだという金の懐中時計。

 もう一つは、ひざまで伸びたデラさんの美しい金髪です。

 デラさんは夫へのプレゼントのために大切な髪を売り、それと引き換えに手にした20ドルで、彼にふさわしいプレゼントを探します。

 そうして見つけたのが、プラチナの時計鎖。

 ジムさんの金時計は立派な外見に反して鎖がなく、古い皮ひもで結ばれていました。

 まさしく彼のために作られたような素晴らしいプレゼントとの出会いに、デラさんは興奮したのです。

 しかし帰宅したジムさんは、髪を切った彼女の姿を見て立ち尽くしてしまいました。

 彼は、デラさんの長い髪に似合うべっこうのくしを買うために、金時計を売ってしまっていたのです……。

 お互いを思いやるあまりに行き違いが生じて二つの宝を失ってしまった、見方によっては愚かな行為ともとれる結末。

 なのに、このお話の題名は「賢者の贈り物」です。

 これは、どういう意味なのでしょうか?

 このお話の結末に込められたオー・ヘンリーさんのメッセージ、ぜひ読んで、確かめてみてください。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして配信している。1話約20分で250円。

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