スペインはカタルーニャ地方にある三つ星レストラン「エル・ブリ」。年間200万件もの予約の希望があるという人気の店だ。その店の厨房に初めてカメラが入ったドキュメンタリー「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」が公開中だ。とはいえ、エル・ブリは実は11年7月をもって営業を終了してしまった。すでにない店を紹介されても……と思うなかれ。ここに登場する料理は別の意味で仰天ものなのだ。
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エル・ブリは毎年、半年間しか営業しない。つまり残りの半年は休みということ。その間、新メニューの開発と研究をしているというのだ。そこに今作のゲレオン・ベツェル監督率いる撮影隊のカメラが入った。研究用のアトリエの中の真っ赤なまな板の上で、シェフたちが包丁でマッシュルームらしきものを刻む。その巧みな手さばきによって、生にもかかわらずおいしそうに見えるから不思議だ。だが、おいしそうと思えたのはここまでだった。その後は、タロイモをふかしたり、圧力鍋に入れたり、いろんな調理法を試し、結局、形になったのは抽出されたわずかな量のシロップ……などなど、斬新過ぎる料理の数々が紹介されていく。
ここでは、ドライアイスでさえ料理になり、また、日本人が薬を飲むのに使うオブラートが、食材として活躍している。オーナーシェフのフェラン・アドリアさんにとって、客に驚きを与えることが肝要であり、筆者のような庶民には、正直、味はどうなんだろうと首をかしげるものばかりだが、それでも美食家たちが絶賛する料理は一見の価値はある。映画の後半には、開店に向けて店を準備するスタッフたちの姿が映り、ここでもまた観客は、料理にも精密なシステムが大事であることを、驚きとともに教えられるのだ。ちなみに、エル・ブリは閉店したが、2年後には料理研究財団として新たに生まれ変わり、新作料理や新食材の開発に尽力していくという。シネスイッチ銀座 (東京都中央区)ほか全国で順次公開中。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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