20日に急性肝不全のため死去した森田芳光さん(享年61)の通夜が、23日午後6時から東京・青山葬儀所で始まった。喪主は妻で監督作品のプロデューサーも務めた和子さん。生前交流のあった堤幸彦監督、八千草薫さん、松山ケンイチさん、役所広司さんらが参列した。祭壇には森田さんが好んだという胡蝶蘭、白百合、かすみ草など約1万2000本の花が飾られた。会場には森田監督の作品「の・ようなもの」など映画のテーマ曲が流れた。法名は「常然院釈芳映(じょうねんいんしゃくほうえい)」。
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森田さんの遺作となった「僕達急行 A列車で行こう」の白倉伸一郎プロデューサーは通夜に訪れ、「12月頭に体調を崩したと聞いたがインフルエンザということだった。こんなことになるなんて夢にも思わなかった。(妻・和子さんは)気丈に振る舞われているけれど現実のものとは思えない様子。私もそうです」と話し「映画のプロモーションは監督の名に恥じないように興行したい。映画は明るい内容でこれからの道を指し示す内容。監督からの明るいメッセージと捉えてプロモーションしていきたい」と語った。
森田監督は東京都出身。日本大芸術学部出身で、自主製作の「ライブイン茅ヶ崎」(78年)が評価され、コメディー「の・ようなもの」(81年)で商業映画デビュー。松田優作さんが風変わりな家庭教師を演じた映画「家族ゲーム」(83年)で監督としての名声を確立。その後は夏目漱石の名作に挑みキネマ旬報ベストワンになった「それから」(85年)、とんねるずを起用したコメディー「そろばんずく」(86年)など多彩なジャンルの作品を手掛け、エンターテインメント作家としての手腕を磨いた。渡辺淳一さん原作の「失楽園」(97年)、向田邦子のドラマをリメークした「阿修羅のごとく」(03年)、黒澤明監督の名作を同じ脚本で再映画化した時代劇「椿三十郎」(07年)、ベストセラーが原作の「武士の家計簿」(10年)など、精力的に作品を発表し続けた。12年3月公開の「僕達急行 A列車で行こう」が遺作となる。(毎日新聞デジタル)