注目映画紹介:「永遠の僕たち」 重いテーマ「死を見つめて生きよ」をピュアに表現

「永遠の僕たち」の一場面
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「永遠の僕たち」の一場面

 ガス・ヴァン・サント監督の最新作「永遠の僕たち」が公開中だ。監督のこれまでの作品とはちょっと趣の異なる、名優デニス・ホッパーさんの息子が主演の少年少女の透明感あふれるラブストーリー。日本から加瀬亮さんも出演している。

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 イーノック(ヘンリー・ホッパーさん)は交通事故で両親を失い、死のふちをさまよった体験から高校をドロップアウト。話し相手は日本の特攻隊員の幽霊ヒロシ(加瀬さん)だけだった。親族のふりをして他人の葬儀に出席することを繰り返していた時、1人の美少女と出会う。その少女アナベル(ミア・ワシコウスカさん)は病院でボランティアをしているという。ある日、アナベルはイーノックに打ち明け話をする。病院のボランティアをしているというのはうそで、実は難病に冒されていて余命3カ月なのだと告白する。イーノックは「3カ月あればヒロシと一緒になんだってできる」と励まし、2人とヒロシの時間が過ぎていく……という展開。

 病気の少女との恋愛という定番ネタなのに、そこに日本兵の幽霊をからませるとは! なんという技を使うのだろうか。脚本を書いたジェイソン・リュウさんのアイデアは独創的だ。悲恋物語に特攻隊の死生観が加わり、命のはかなさが倍増。生き残ったが死んだように生きる少年と、死を前にして生き生きとする少女。そして時代の中に散った若い兵士の命が重なり合う。「死を見つめて生きよ」という重いテーマなのに、映画全体にはピュアな風が吹いている。主演のヘンリーさんはおでこのニキビも初々しく、純粋な表情にハッとさせられる。対するワシコウスカさんはショートヘアと目がキュート。役をキラキラ生き切っている。小道具に携帯電話を意図的に使わず、時代を超えた手触りと余韻を作り出している。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)、シネマライズ(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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