司馬遷の「史記」に記され、京劇でも人気の「趙氏孤児」を、中国の名匠チェン・カイコー監督が映画化した「運命の子」が全国で公開中だ。一族の中、たった1人生き残った子の成長と、2人の父親の姿を描く。ワン・シュエチーさんとグォ・ヨウさん、2人の名優の競演が見もの。「孫文の義士団」(09年)のファン・ビンビンさん、「レッド・クリフ」のチャン・フォンイーさんら脇役も豪華だ。
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2600年前の中国春秋時代の晋。武官(ワンさん)に一族を抹殺された趙氏の長男・程勃が、母の機転と出産に立ち会った医師・程嬰(グォさん)の奔走によって生き延びることができた。しかし程嬰は、身代わりに我が子と妻を殺されてしまう。程勃を引き取り我が子として育てることで、敵の武官に復讐(ふくしゅう)しようと心に誓う程嬰。武官の門客となって働き始めたが、何も知らない程勃は、武官から武術を学び、武官も程勃を可愛がり、2人の父の元すくすくと育っていく。程嬰は復讐をやり遂げようと、ときが来るのを図っていた……というストーリー。
「さらば、わが愛 覇王別姫」(93年)や「北京ヴァイオリン」(02年)でも父子関係を描いたチェン監督。今作では2人の父が出てくるが、これが人間味あふれるなかなか可愛らしい父親なのだ。復讐を目的に子育てを始めた医師・程嬰が、反抗期のさしかかった子どもに手を焼いていたり、敵の武官が子どもに好かれようと必死なあたりが面白く、歴史ロマンの復讐劇でありながら、2600年前のイクメン物語ともとれる。
今作を見ていると、父親とは子どもに上から「ダメ出し」する役割を担うものなのだと感じるが、一人っ子で甘やかされている子どもたちが問題になっている中国や、我が子の就職や婚活まで口出しする母性が強い日本にとって、家庭や社会において父親的な役割がきちんと機能しているのだろうかと考え込んでしまった。Bunkamuraル・シネマ(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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