俳優の渡辺謙さんが9日、東京都内で開かれた映画「はやぶさ 遥かなる帰還」(瀧本智行監督)の新社会人向け試写会に登場。これから社会に出る大学3、4年生約50人と映画や仕事のことについてディスカッションし、“白熱授業”を繰り広げた。「頭では分かっているが、自分とは違う人や意見に接すると排除してしまいがち」という男子学生に、渡辺さんは「10代、20代前半は思いが強いほど(違うものを)受け入れる度量は少ないはず。絶対成長していくんだということを信じるべきだ」と熱く語り、「自分も若いときは求められることと、(実際の)自分のギャップに苦しんだ。若さの特権として甘受すべきだと思う」と激励した。
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ティーチインは学生からの質問に渡辺さんが答え、さらにそのやりとりに対して学生たちが感想や意見などを発言していくという方式で行われ、終始活発なディスカッションが繰り広げられた。日本だけにとどまらず映画の本場ハリウッドでも活躍する渡辺さんは「自分はハリウッド俳優と思ったことはない。日本の俳優として(仕事をしている)。ハリウッド俳優たちがオイルペインティング(油絵)だったら僕は水墨画。(油絵ほど)どぎつくはないんだけれど、(表現する上で)淡さの中にある奥行きを持っている。自分に何ができるかを考えていったらそうした方が鮮明に表現の違いが出てくる」と話し、「日本とは違う国の人々と仕事をしていく上で、彼らとの違いを面白がってほしい」とエールを送った。
また、体制に立ち向かう役を演じることの多い渡辺さんは「強風の前に立ってはいるけれど、社会とか大きいものと闘っている感じはしなくて、一人の人間としてどう立っていくかというのに興味がある。組織とか社会っていうと立ち向かえない気がするけれど、そこに自分がどう立つべきかという自分の重心をどう置くかの方が大切な気がする」と自身の俳優観も明かし、学生たちは熱心に聴き入っていた。
渡辺さんが主演する映画「はやぶさ 遥かなる帰還」は山根一眞さんの「小惑星探査機 はやぶさの大冒険」(マガジンハウス)が原作で、「はやぶさ」の歴史的偉業を日本から支えたプロジェクトチームの闘いを描いている。渡辺さんはプロジェクトマネジャーだったJAXA教授の川口淳一郎さんをモデルにした山口駿一郎役を演じ、そのほか江口洋介さん、吉岡秀隆さん、夏川結衣さん、小澤征悦さん、中村ゆりさん、石橋蓮司さん、藤竜也さんらが出演する。11日に全国公開。(毎日新聞デジタル)
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