インパルス板倉:「認められるまでやりたい」執筆2年の巨編「蟻地獄」に自信

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 お笑いコンビ「インパルス」の板倉俊之さんが2作目となる書き下ろし小説「蟻地獄」(リトルモア、1785円)を20日発売した。デビュー作の「トリガー」から3年、満を持して書き上げた新作は436ページにも及ぶ長編。紀伊國屋書店新宿本店(東京都新宿区)で同作品を購入した先着100人に整理券を配布し、30日には同会場で発売記念サイン&握手会を実施する。板倉さんは「僕と同世代とか主人公世代(10代後半)の男性なら絶対面白いけど、女性に引かれちゃうと困るな。本の分厚さで引かれちゃうのも困る……」と弱気になったが、「最後まで読んでもらえれば、逆に温かい気持ちになるかもしれない。損したと言わせない自信はあるので手に取ってもらいたいですね」と自信を見せた。(毎日新聞デジタル)

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 「蟻地獄」は、主人公・二村孝次郎は、幼なじみで悪友の大塚修平とともに、カジノでの大もうけを計画。裏カジノでのイカサマで大金を手に入れたかと思いきや、イカサマは見破られ、オーナーの柏木にたっぷりと痛めつけられる。修平を人質にとられ、期日までに300万円を準備するように要求された孝次郎は、金をつくるために、一人青木ケ原樹海へ足を踏み入れる……という展開。出版社に誘われて挑戦した前作とは違い、自分から書き始めたという同作について、板倉さんは「前回は完全にぶっ飛んだ話(架空の世界)だったので、今度は現実味を帯びた長編ミステリー。文章もちゃんと『小説家』と言えるようなレベルまで引き上げたものを書きたいと思った」と熱を込めた。

 小説を書く時間はほぼ仕事以外の時で、板倉さんは「(執筆は)睡眠と食事以外。仕事の合間はほかの本を見て刺激をもらって、むしろ書かなかった。6時間くらいは時間がないと進まないんで、仕事の合間は小説の展開を考えてメモしていた」という。実際に執筆したのは2年間で、手直しにかけた時間はさらに半年くらいだといい、「リアリティーを出すために富士山の樹海にも行って調べて……という時間は、今回の方がかかりました」と振り返った。内容については「話の骨組みを考えて書いてるけれど、ここまで長くなるとは。途中で(一部の)キャラクターが完全に手を離れてしまって……1カ月くらい(執筆が)止まってしまった。狙い通りと行かない」と生みの苦しみを明かしたが、その分自信を持てる作品に仕上がったといい「楽しなくて良かった」と笑顔を見せた。

 前作「トリガー」はマンガの原作となったが、今回の作品は「単純に僕は映像で見たい。できないことはないんじゃないかな」と映像化に期待を寄せた板倉さん。小説家として目指すところを聞くと、「ヒットしたいですよね。芸人が書いてるからって、逆に邪魔になって(読んでもらえずに)いるところもあると思う。認められるまではやりたい」と力を込めて語った。次に書きたいジャンルを聞くと、「自分しか思い付かない設定が見つかったら、すぐにでも書きたいですね!」と早くも次回作へ意欲をみせていた。

 <プロフィル>

 いたくらとしゆき。78年1月30日生まれ。埼玉県出身。東京NSC4期生。98年に堤下敦さんとお笑いコンビ「インパルス」を結成。以降すべてのコントの作・演出を手がける。「はねるのトびら」など、数多くのバラエティー番組に出演し、映画やテレビドラマで俳優としても活躍。09年には自身初となる書き下ろし小説「トリガー」を刊行している。

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