話題のライトノベルの魅力を担当編集者が語る「ラノベ質問状」。今回は、「山猫姫」と呼ばれる異国の姫の教育係になった主人公の成長と活躍を描いた「ご主人様は山猫姫」（鷹見一幸著、春日歩画）です。アスキー・メディアワークス電撃文庫編集部の高林初さんに作品の魅力を聞きました。

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　−−この作品の魅力は？

　主人公の晴凛（せいりん）はエリート一家で唯一の落ちこぼれ。やっとありついた仕事が辺境のお姫様の養育係でした。そのお姫様のやんちゃぶりがすさまじく、「山猫姫」と異名をとるほど。晴凛は振り回されつつも、彼女との出会いがきっかけで運が開けていきます。今では、崩壊が始まった帝国の趨勢（すうせい）を決める人物として、歴史の大舞台に出ていこうとしています。普通の青年が傑出した能力で出世するのではなく、人柄でチャンスをつかんでいくところに爽快感があるのではと思っております。

　−−作品が生まれたきっかけは？

　スーパーマン的な無敵の主人公ではなく、あくまでも等身大の青年が誰にでもできることでサクセスしていくと気持ちいいのでは、というのがコンセプトだったと思います。誰にでもできることだけど実際にやるのは難しい、いわゆる人徳というものを主人公は持っております。そうした人物が身を起こすには、乱世のドラマチックな世界観のほうがスケールも大きく楽しめるのではということで、古代中国的な舞台となりました。

　−−作家さんとイラストレーターさんはどんな方でしょうか？

　著者の鷹見一幸先生はベテランの作家さんで架空戦記も多く手がけられております。この辺の題材は十八番とも言えるもので、フィクションでありながら描かれる世界観・合戦のシーンは非常に興味深く、担当自身も楽しんでおります。イラスト担当の春日歩先生は電撃イラスト大賞受賞者です。非常にすてきなイラストを描かれる方なので、授賞式当日のパーティーの時にこっそり「お仕事しませんか？」とお声がけをしたのを覚えております。

　−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。

　歴史ものが好きだったので、乱世の英傑が活躍するお話は自分自身も楽しんで拝見しております。クセはありますが、才にあふれる人物が主人公に引かれて集まってくるのもわくわくいたします。大変なことと申し上げていいのかわかりかねますが、原稿が上がるのが遅いことが悩みといえば悩みです。

　−−今後の展開、読者へ一言お願いします。

　栄華を誇った帝国も北と南の乱から端を発し、崩壊を始めます。世が乱れるからこそ英雄待望論が生まれ、晴凛が帝国中央へ乗り出すきっかけができるのです。晴凛や、やんちゃなミーネ姫、無頼の天才軍師伏龍の活躍はいよいよこれからです。ハラハラドキドキ、そして胸のすく活躍をご期待ください。

　アスキー・メディアワークス　電撃文庫編集部　高林初