注目映画紹介:「アウトレイジ ビヨンド」 大友は生きていた! 初の続編で関東対関西の抗争描く

(C)2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会
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(C)2012「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

 北野武監督が10年に世に送り出した「アウトレイジ」の続編が6日、全国で公開される。北野監督にとっては初の続編企画。脚本、編集も北野監督が兼ね、前作で決着がついたと思われた下克上が、今回は関東と関西の抗争へと発展していく。

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 前作で死んだと思われたビートたけしさん演じる大友は、実は生きていた! この禁じ手ともいえる設定で幕を開けるヤクザ同士の抗争は、前作の5年後が舞台。兄貴分や親分をまんまと出し抜き、関東一円を取り仕切る暴力団・山王会の会長となった、三浦友和さん演じる加藤。政治の世界にまで手を伸ばし始めた彼らに警察は業を煮やし、小日向文世さん演じる刑事の片岡は、関西の暴力団・花菱会を利用し、山王会を潰そうと画策する。それに利用されたのが大友だった……。

 前作は、暴力団組織の関係が複雑で、それを理解するのに手間取ったが、今回は関東対関西の抗争と明快な分、物語に没頭できた。見ものは、三浦さん演じる加藤と、加瀬亮さん演じる若頭・石原が見せる、前作以上の暴走。とりわけ石原は、加瀬さんの人格が壊れちゃったんじゃないかと心配するほどの悪らつぶり。そのほかにも西田敏行さん、高橋克典さん、桐谷健太さん、新井浩文さんらが、ワルぶりを競い合うように、おのおのドスの利いた演技を披露している。

 続編を作りたいが肝心の主人公が死んでしまった……。そんなときに使われるのが、実は双子の兄弟がいたとか、時間を前に戻すとか、死んだ事実そのものをなかったことにすること。そうした禁じ手を、あの“世界のキタノ”がやってしまうとは……と、見る前に実はちょっとがっかりしていた。そんなこちらの思いを封じ込めるようなせりふを登場人物にいわせてしまうところがまた北野監督らしく、劇中しばしばニヤりとさせられた。6日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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