夏帆:「つかみどころがないのが静加の魅力」 ドラマ「ヒトリシズカ」主演

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 「ストロベリーナイト」などで知られる人気作家・誉田哲也さんの連作警察小説が原作のWOWOWの連続ドラマW「ヒトリシズカ」が21日からスタートする。五つの事件の裏に見え隠れする謎の女性・静加を演じた主演の夏帆さんは、「静加って何者なんだろう、何が目的なんだろうって、すごく難しかった」と初めてのミステリアスな役柄に戸惑いも多かったという。今年の夏はずっとこの役と格闘していたという夏帆さんに役作りの苦労や見どころを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 「ヒトリシズカ」は、住宅街のアパートの一室で、ある男が押し入ってきた別の男に射殺されるという事件が発生。やがて、事件への関与が疑われるある少女・静加(夏帆さん)の影が浮かび上がってくる……。その後も時と場所を隔てて次々と五つの殺人事件が起こる。それぞれの事件を解決するべく警察は捜査を進めるが、一見かかわりのないように見える五つの事件の奥には静加の謎めいた人生が横たわっていた……というストーリー。

 読書が趣味という夏帆さんだが、誉田さんの作品は今回、役が決まって初めて原作を読んだという。「普段ミステリーや推理小説をあまり読まないんですけど、すごく読みやすかった」と話すが、静加という主人公については、「とにかく、静加って何者なんだろうって、すごく難しかった。静加って何が目的だったんだろうというのが、本を読んだだけだと何も見えてこなくて、でも実際演じなきゃいけないので、どう演じていこうって」と初めての役柄に迷いも多かった。「でもとにかく静加という役に挑戦してみたい。自分に演じ切れるか分からないですけど、でもやってみたいと思いました」と前向きに取り組んだ。

 現場に入ってからも平山秀幸監督やスタッフとよく話し合ったというが、「人によって静加に対して思うことが違うし、その人なりの静加があるので、でも口をそろえてみんな静加のことがつかめない、つかみどころがないというのが彼女の魅力で、実際演じる自分が一番静加に近い存在でいたいなと思っていたんですけど、あんまり理解できない気がして。それを演じていくというのはかなり大変でした」と振り返る。

 静加という役は最後までつかめたという確信が持てなかったという。「これをいつかつかむ日が来るのかなと思っていたんですけど、確信が持てずに(撮影が)終わってしまった。きっと静加自身も自分がなんなのか分かってないところもあるんだろうなというか。『私ってなんだろう』というせりふがあるんですけどきっとそうなんだろうなと思いました」と語る。

 主演というプレッシャーとつかみどころのない役柄で撮影中はかなり追いつめられた。6月中旬から8月中旬まで2カ月間の撮影期間で、その間、6月30日に21歳の誕生日を迎え、現場でケーキでお祝いしてもらったというが「すごく大変な撮影のときで(笑い)、こんなときに誕生日ですいませんみたいな感じで(笑い)。でもお祝いしていただいたのはすごくうれしかったんですけど」と恐縮しながら語る。

 撮影期間は「もう逃れられないという感じで、例えば友だちと会っていてもいけないことをしているような、『今日は帰るわ』みたいな感じになって。自分のことをやっているとすごくうしろめたい気持ちになって。静加ってあまり出番がなかったので、撮影日数もすごく少なかったんですよ。だから2カ月の間、休みの日も多かったんですけど、何をしたらいいか分からなくて、現場に行ってないとすごく不安で、ああ早く現場行きたいっていつも思っていました」と静加という役にどっぷりとはまった。

 静加の15歳から30歳まで演じた。「ラストの第6話、30歳の場面は一番撮影の最後に撮ったので、撮影を重ねていけば何か見えるものがあるのかなと思ってやってました。15歳のときも、私の15歳のときと静加の15歳のときは全く違うので、自分の15歳のときを振り返ってああだったなと思い返して演じるということもなかったですし。静加って年齢は関係なさそうだなと思って、あんまり年齢というのは意識しないで演じました」と年齢に幅のある役柄も自分なりに演じた。

 平山監督の現場は緊張感があった。「(緊張感があるのは)たぶん監督の存在感だと思うんですけど。でも平山さんはちゃんとカメラの横で生でお芝居を見てくださるので、モニターを通してじゃないので、ちゃんと見てくださるような気がして、だからすごく安心感がありました」という。共演者は「いつかご一緒できればいいなあという人たちばかりがずらりと名を連ねていて。でも共演者の方たちに引っ張られないように気をつけていました。静加ってすごくマイペースであまり周りに流されないけれど、どうしても周りの方たちがすごいので、ちょっとドキドキして。でもあまり引っ張られないようにちゃんと自分を持って演じました」と振り返る。

 今後も静加のようにこれまでにない役柄にどんどん挑戦したいと語る。「まさに今、そういう時期だなと思っていて、本当に今自分で変わっていかないとと思っていて、そういう危機感もあったりして。新しいことに挑戦するのはすごく怖いし、すごく不安だし、すごくエネルギーを使うんですけど、そういうことを常にやっていかないといけないなとは思います」と伸び盛りの女優らしい発言も飛び出した。

 「ヒトリシズカ」の見どころについて「間違いなく私がこれまでやってきた役にはない役なので、今までと違う一面が出せてるんじゃないかなと思います。また、ドラマとしてもかなり見応えのある、今まで見たことないようなドラマになっているんじゃないかなと。1話ごと雰囲気もガラリと変わりますし、出演者もガラリと変わっていますので1話から6話まで通して、すごく面白い作品になっているんじゃないかなと思いますね」とアピールした。

 連続ドラマW「ヒトリシズカ」は、WOWOWプライムで21日から毎週日曜午後10時に放送。全6話で、第1話は無料放送。

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