歌舞伎役者の四代目市川猿之助さんが14日、東京都内で行われた猿之助襲名後初舞台となる「助太刀屋助六 外伝」の公開舞台げいこに登場し、急性呼吸窮迫(きゅうはく)症候群のため5日に亡くなった歌舞伎俳優の中村勘三郎(本名・波野哲明=なみの・のりあき)さん(享年57)についての思いを語った。猿之助さんは「悲しいけれど事実。輪廻(りんね)転生ってあるから、孫くらいに生まれ変わってくるときに歌舞伎がなかったら大変だからね。それを伝えていくのが僕らの務め。事実は事実として受け入れてひたすらやるしかないですね。僕らもいずれ死んでいくわけだから」と語った。
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また、「生前は勘三郎さんに可愛がってもらった」という同舞台に出演する俳優の石橋直也さんは「(勘三郎さんが)ご病気になられて1月にあいさつに行ったときに今回の舞台の報告をしたら、(勘三郎さんは)楽屋で横になりながら『元気になって必ず見に行くからね』とおっしゃてくれました。猿之助さんのご襲名後の舞台ということもあってとても楽しみにされていました」と涙ぐみながら勘三郎さんをしのんだ。
舞台は故・岡本喜八監督の原案をもとに、映画版「助太刀屋助六」につながる旅の道中で巻き起こる出来事を描く。演出はG2さんが手がけ、岡本監督の世界観はそのままに新たな作品として創作する。猿之助さんのほか石橋さん、元宝塚歌劇男役トップスターの朝海ひかるさん、俳優の吉沢悠さん、忍成修吾さん、鶴見辰吾さんが出演する。舞台は「ル・テアトル銀座 by PARCO」(東京都中央区)で15~24日公演。
岡本監督の映画版にも出演している鶴見さんは「映画版では時代劇初挑戦で、今回も舞台で時代劇をやるのは初めてなんです。舞台もかなり洗練されている。できたらニューヨークに持って行きたい」と意気込み、襲名後、初舞台となる猿之助さんも「ニューヨークにまで持って行きたいね。でも勘三郎さんもニューヨーク公演を行っていたからパリあたりにしておこうか」と盛り上がっていた。(毎日新聞デジタル)