東京・秋葉原などで中古ゲームやDVDを販売する「TRADER(トレーダー)」の家庭用ゲーム部門責任者を務める小林俊一さん。1日のうちに価格がめまぐるしく変動する激戦区を見つめる小林さんに、アキバの1年間を振り返ってもらいます。
ウナギノボリ
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12年の中古ゲーム市場で一番売れたのは「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」(PS3、バンダイナムコゲームス)でした。新品もよく売れましたが、ネット対戦でも1人でも遊べる懐の深さで中古市場でも長期にわたってランキングをにぎわせ、断トツの人気でした。2位は「モンスターハンター3G」(3DS、カプコン)。あまり目立った印象もなかったのですが、短期間でかなりの数を売り上げました。3位は「ファイアーエムブレム 覚醒」(3DS、任天堂)。想像以上の売れ行きで、こちらはロングセラーとして人気がありました。
今年のアキバを振り返ってみると、全体的に落ち込んだという印象はぬぐえません。11年は東日本大震災があって一時落ち込んだのですが、下半期にはその反動もあってかなり持ち直しました。ところが今年は、ビッグタイトルに乏しかったことに加え、新作の数自体が減少していることもあってかなり厳しい1年となりました。また、週末の天気にめぐまれないことも多く、残念ながらビニール傘だけがよく売れました……。
今年の顔となった3DSですが、「ファイアーエムブレム 覚醒」や「ブレイブリーデフォルト」(スクウェア・エニックス)といったアキバ向けの“やり込み系”タイトルが発売されたこともあって、好調でした。アキバのお客さんは、いいソフトが出れば本体の値段が高くても買うという人が多いので、そういう意味では3DSにアキバ向けのタイトルがそろってきたといえるでしょう。また、「とびだせ どうぶつの森」(任天堂)はいまだに品薄状態が続いていますが、正直なところDSの「おいでよ どうぶつの森」以上の盛り上がりです。
PS3はようやく安定期に入った印象で、ソフトのラインアップもそろってきたおかげで、あまりゲームを遊ばない一般ユーザーにまで伸びました。一方で、昨年末に発売されたPSVitaは、厳しい1年だったと言わざるを得ません。前述の通り、アキバのお客さんは本体の値段を気にしない傾向が強いだけに、本体を買いたくなるようなソフトが少なかったということでしょう。また、フリーズなどの不具合がしばしば話題に上がっているのは不安材料。グラフィックも奇麗ですし、とてもいいハードなので広まってほしいのですが、こういったことが続くと普及にも影響を与えかねません。
“洋ゲー”と呼ばれる海外製のゲームはかなりユーザーを増やしました。「コールオブデューティ」シリーズは既に別格の強さをみせていますが、「スリーピングドッグス」(PS3・Xbox360、スクウェア・エニックス)や「アサシンクリード3」(同、ユービーアイソフト)などもよく売れました。
来年も「ドラゴンクエスト7」(スクウェア・エニックス)、「モンスターハンター4」(カプコン)などの有力作が控えており、3DSの天下はまず安泰でしょう。現状ソフトの販売で苦戦しているWiiUが、どこまで伸びてくれるかにも注目しています。
1位 機動戦士ガンダム エクストリームバーサス(PS3)
2位 モンスターハンター3G(3DS)
3位 ファイアーエムブレム 覚醒(3DS)
4位 第2次スーパーロボット大戦Z 再世篇(PSP)
5位 ドラゴンズドグマ(PS3)
6位 テイルズ オブ エクシリア(PS3)
7位 モンスターハンターポータブル 3rd(PSP)
8位 ファイナルファンタジー零式(PSP)
9位 ダークソウル(PS3)
10位 マリオカート7(3DS)
小林俊一(こばやし・しゅんいち) 中古ゲームショップ「トレーダー」家庭用ゲーム部門責任者
中古専門店「トレーダー」設立時からの古参社員で、秋葉原・新宿店の家庭用ゲームすべての価格設定などを担当。ゲームの販売・仕入れ・卸などゲーム流通業界一筋で、趣味と経験を生かして、オールドゲームから海外ゲームまで精通している。
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