累計発行部数800万部を突破した加藤和恵さんのマンガが原作の劇場版アニメ「青の祓魔師(エクソシスト) 劇場版」(高橋敦史監督)が28日に公開された。「ジャンプSQ.(スクエア)」(集英社)で連載中で、悪魔に養父の命を奪われた主人公・奥村燐(りん)が、サタンの子でありながら悪魔を倒す「祓魔師」を目指して成長していく姿を描く。11年4~10月にテレビアニメがTBS系で放送されて話題を集め、映画化された。
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今回の劇場版では、11年に1度の祝祭に盛り上がる正十字学園町を舞台に、燐(声・岡本信彦さん)たちの新たな物語が描かれる。高揚感と喧噪(けんそう)の裏側で「幽霊列車(ファントムトレイン)」の暴走という事態の収拾にあたった燐と双子の弟・雪男(声・福山潤さん)は、少年の姿をした悪魔と出会う。さらに悪魔の侵入を防ぐための結界張り替えの応援に来ていた台湾支部の上一級祓魔師であるリュウ・セイリュウ(声・木内秀信さん)も登場。そして燐たちが気づかぬ間に、世界を揺るがす何かがひそかに動き始める……というストーリー。
物語が、序盤のエピソードでしっかり者の弟と少し頼りない兄という存在が丁寧に描かれ、劇場版で初めて「青の祓魔師」に触れる人でも安心してその世界に入り込める。いきなりのアクションシーンで見る者をグッと引き込み、ニヒルなたたずまいのセイリュウが物語にスパイスを効かせ原作ファンも満足させる。そして、ストーリーのカギを握る、少年の姿をした悪魔の「うさ麻呂(声・釘宮理恵さん)」の“特殊能力”。悪魔でありながら主人公たちを思って能力を使い、波紋を広げてしまう。そのことに対する燐の答えとうさ麻呂の答え。クライマックスでのうさ麻呂のせりふには思わずホロッとさせられるだろう。冒頭に登場した劇中絵本を使いつつ、結末へと結びつける構成にうなりながら、「大切なこと」「分かり合うということ」といったテーマを考えさせられる作品だ。全国東宝系で公開中。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
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