ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
話題の書籍の魅力を担当編集者が語る「ブック質問状」。今回は、舞城王太郎さんの小説「キミトピア」です。新潮社出版部の担当編集者に作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
本書は、雑誌掲載された4編と書き下ろし3編の全7編を収録する小説集です。主人公は男性、女性、大人、子どもとさまざまですが、「現在」を自分らしく生きようとすることで直面する問題とどう向き合っていくかという点が共通項でしょうか……とまじめに解説しましたが、舞城さんにしか書けない突飛な設定や型破りな展開が随所に見られる、ファンにとっても初めて読む方にとっても手に取りやすい作品集となっています。
−−作品が生まれたきっかけは?
舞城さんは数年間にわたって雑誌「新潮」などに小説をお書きになっていて、それが集まり、いざ単行本の刊行をとなったとき、私には「極厚の小説集にしたい!」という思いがありました。そこで、発表済みの作品と同程度の分量(原稿用紙100枚ほど)の書き下ろしを3本書いていただくことになりました。こうした経緯で生まれたのが「添木添太郎」「ンポ先輩」「真夜中のブラブラ蜂」です。変なタイトルですが(笑い)、それぞれ“少年少女の成長”“卑猥(ひわい)なあだ名に抵抗する女子大生”“とことん自由を求める主婦”を描いた素晴らしい小説です。
−−作家さんはどんな方でしょうか?
秘密です(笑い)。
−−編集者として、この作品にかかわって興奮すること、逆に大変なことについてそれぞれ教えてください。
やはり、新作を書き下ろしていただいたことです。難航していた原稿を脱稿なさったときは至上の喜びでした。なかなか決まらなかったタイトルが「キミトピア」に決定したときもスリリングでした。実は本書に「キミトピア」という作品はなく、全体を象徴する言葉として著者が付けたものです。ちなみに、本の1ページ目にはイントロダクションが置かれているのですが、作品名ではない書名になったことも、イントロが書かれたことも著者初の試みなんです!
−−最後に読者へ一言お願いします。
雑誌掲載時から話題を呼んだ「やさしナリン」から芥川賞候補作「美味しいシャワーヘッド」まで舞城史上最多作品数で贈る読みごたえのある一冊になりました。書名が「キミトピア」である理由は冒頭のイントロダクションに書かれていますが、ぜひ、皆さまも一人ひとりのキミトピアを見つけていただきたいと思います。(全編に登場する)東京都調布市の写真が掲載されているこの本を見つけたら、ぜひ読んでみてください!
新潮社出版部 担当編集者
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