橙乃ままれ:「ゲームの影響計り知れない」まおゆう作者が執筆活動の裏側語る

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 「まおゆう魔王勇者」(エンターブレイン)に続き「ログ・ホライズン」(同)のテレビアニメ化が決まるなど、次々とライトノベルのヒット作を生み出す橙乃(とうの)ままれさん。ともにインターネットの投稿から生まれた作品で、さらに、ウェブマンガ誌「COMIC メテオ」(ジー・モード)で連載中のマンガ「放課後のトラットリア」では初めてのマンガ原作に挑戦している。ネットの世界を舞台にまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの橙乃さんに執筆活動の裏側を聞いた。

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 −−もともとネットで執筆活動を行っていたということですが、いつごろに執筆をスタートしたのでしょうか?

 92年ごろから草の根BBS(インターネット以前)で、さまざまな小話や、小さな記事を書いていました。

 −−ネットで作品を発表するメリット、デメリットを教えてください。

 早い時期から多くの読み手の方に自作を見てもらえることがメリットです。絵に比べて商業発表の場所が少ないテキストにとって重要です。デメリットは、その意見の洪水に流されてしまうことがあることですね。

 −−今後もネットでの活動を続けていくのでしょうか?

 そのつもりです。

 −−「まおゆう魔王勇者」「ログ・ホライズン」「放課後のトラットリア」はファンタジー系ゲームのような世界を舞台としています。影響を受けたゲームがあれば教えてください。

 「ドラゴンクエスト」「ゼルダの伝説」「ファイナルファンタジー」「ディアブロ」「エバークエスト」「ウルティマ」「シヴィライゼーション」といった世界中のゲームが大好きです。好きな部分というより僕らの世代にとって、それはほとんど故郷のようなもので、影響は計り知れないです。

 −−ライトノベルと呼ばれるジャンルは、キャラクターや世界観の設定が重要視されるといわれています。橙乃さんが設定を決める際に気をつけていることはありますか?

 世界が書き割り(作中に登場する要素だけ)にならないように、使うあてがない要素でもあまり単純化しておかないことでしょうか。主要な舞台の外側にも世界は広がっていて影響を受けたり、与えたりする流れの中にあるような構造を心がけています。

 −−「放課後のトラットリア」は“食”がテーマですが、「まおゆう魔王勇者」「ログ・ホライズン」も食べ物や食材が多く登場します。

 おいしい食事をして幸せを感じるというのは、日本人では誰でも経験があることだと思います。その普遍的な部分を足場にお話を作るのは、読者の方に親しみを持ってもらうきっかけになりうると思っています。

 −−「放課後のトラットリア」で初のマンガ原作に挑戦したきっかけは?

 「まおゆう魔王勇者」をウェブで書き終え、まだ出版されてもいないころ、編集さんから「一緒に仕事がしてみたい」と連絡をいただきました。ウェブで見つけて連絡をくださったんですね。縁を感じて打ち合わせに挑みました。

 −−マンガ原作ならではの苦労はありますか?

 一人では作れない、一人では完結できないところです。でも、そこが同時に面白さでもあります。作画の水口(鷹志)さんは僕よりも一回り若い世代ですけれど、そのコミットが楽しいです。

 −−ファンの方のメッセージをお願いします。

 新しいような懐かしいような話を書いていきたいと思います。相方の水口先生と大きなファンタジーの世界を描く「放課後のトラットリア」。シロエと共にヤマトの大地を駆ける「ログ・ホライズン」など、応援ください! 3月いっぱいまで「まおゆう魔王勇者」のアニメ(TOKYO MXなど)も放映されていますし、月末には「ログ・ホライズン」6巻が発売される予定です。「ログ・ホライズン」はこの秋からNHKさんでアニメにもなりますので、それに向かって盛り上げていければと思います。もちろん「放課後のトラットリア」の連載も続けていきますので、合わせてお楽しみに!

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