独特の間合いで世界を紡ぐ石川寛監督の7年ぶりの作品「ペタル ダンス」が20日に公開された。大学時代の女子グループが友達を訪ねていくロードムービーで叙情的な映像が心をとらえる。「ペタル」とは花びらのこと。宮崎あおいさん、安藤サクラさん、忽那汐里さん、吹石一恵さんの“女子”4人がさわやかに共演している。
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ジンコ(宮崎さん)と素子(安藤さん)には、6年間会っていない地元に残った大学時代の友人ミキ(吹石さん)がいる。そのミキが自ら海に飛び込んだという話を聞き、会いに行くことにする。「会いにくくないか」という素子を一蹴するジンコ。素子の元夫(安藤政信さん)に車を借り、ジンコの知り合いの服飾店で働く原木(忽那さん)が運転をして、ミキに会いに行くことになる。実は原木にも、こつぜんと姿を消した友達(韓英恵さん)がいたのだった……。
せりふは少ない。カメラはそれぞれの表情をじっととらえ、次のせりふを探っているかのようだ。4人の女優たちは自然派の雑誌「リンネル」から飛び出したかのよう。女の子3人の行く先は、昔の友人が入院する病院。自殺未遂したところを疎遠になっていた友人が訪ねてくるのだ。この設定、リアリティーのある物語ではないかもしれないし、受け取りようによっては残酷さを感じなくもないが、昔に戻って触れ合う女子たちを見ているとくすぐったい気持ちになる。考え抜かれて決められた立ち位置、せりふ回しに小津安二郎の映画を思い起こさせる。この世界観にハマるかハマらないかで好き嫌いが分かれそうだが、ビュービューと吹く風さえ重要な登場人物のように感じられ、その景色を実際に見たかのように記憶させてしまう。脇役の風間俊介さん、韓さんらも出番は少ないが印象的。20日からシネクイント(東京都渋谷区)、新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほかで全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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