桜 稲垣早希の補完計画:「キングダム」 馬にもスポット当てて!

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 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒロイン・アスカの物まねで知られるお笑い芸人の桜 稲垣早希さん。「エヴァ」だけでなくさまざまなアニメやマンガ、ゲームが大好きという稲垣さんが、熱い思いを語ります。(毎月25日更新)

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 こんにちは! 今回は今話題の「キングダム」です。あまり勉強のできない私は、今まで歴史もののマンガにはあんまり興味なかったのですが、もう単純に周りの人がすごくこのキングダムを読んでまして……。「え~そんなに面白いんですか!? 歴史知らない私でも楽しめます……?」と半信半疑のスタートでしたが、今は最新巻まで読んで、次が待ちきれず、もう一回1巻から読んでるところです。2回読んで登場人物をきちんと理解できたような気がしたので、このマンガは最後まで2回ずつは読んでいこうと思っています。

 さて、なにがそんなに面白いのか……。ストーリーとしては秦の王様が始皇帝になっていくまでのお話です。若くて力のない王がどうやって始皇帝になっていくのか……、そこには欠かせない、ある少年の存在がありました。主人公の「信(しん)」です。

 信は戦争で親を亡くし、下僕の身分から、幼なじみの漂(ひょう)と決意した「天下の大将軍になる」という夢のためにどんどん武功をあげていきます。その出世ストーリーですが、「こんなに細かく戦いを描いていてリアルで残酷で感動するものは今まであったでしょうか!?」と思わせます!!

 私が他の作品をあまり見てないからかもしれませんが、このキングダムを読んでいたら、信と読者が一緒に成長しているように感じるのです。

 たとえば、ある戦争に信は武功をあげて出世しようと参戦します。ここで当時の戦い方がどういうふうになっていたかも描かれています。5人組でチーム。これを「伍」と言い、リーダーを伍長といいます。基本この5人でサポートしあいながら戦います。

 そうした集団をまとめる百人将、そして千人将、二千、三千、五千人将、将軍とどんどん大きくなっていきます。そのすべてを動かすのは「総大将」で信が目指すのはここです!!

 信は初陣で活躍し、いきなり百人将になります。なぜこんなに強いのか……、体は小さめでまだ少年なんですけど、でも信の強さは良い意味の無鉄砲さで、とにかく前へ前へ行くことしか考えていません。いつでも前向きな信の士気の上げ方は素晴らしいです。

 強い敵を前にしたときでも「同じ人間には変わりねえ。思いっきりぶった切ればあいつは死ぬ。切って死ぬんだったら、倒せる」。

 かっかっこいい……。怖くて腰が引けてしまう戦場で、士気を上げてくれるリーダーはものすごく大事な存在なんですね~。そしてその中で最強の将軍がいます。

 「王騎将軍」です。まず、この人のファンにならざるを得ません!! 信が尊敬して、目標にした天下の大将軍です。もともと中華最強といわれた六大将軍の一人なのですが、この人の戦いっぷりたるや、読んでても迫力で息ができなくなりそうです。私も拳を腰にあてて、「コココココ……」という王騎将軍の笑い方をしばらくマネしてました。

 初めはオカマキャラの変な人と思ってたのですが……。将軍同士の一騎打ち。これまた、すごいのですが、こういう一騎打ちって実際にはやったんでしょうかね? マンガだからそういう描き方してるのかな~。本当だったらかっこいいな~と思います。

 他にも、いろんなキャラが出てきます。やはり目につくのは女性キャラ。戦場で戦う女性キャラが結構いて、その中でもはじめ男性に化けて戦っていた、ものすごい強さのキョウカイはかっこいいですね~。クールですが本当は心優しいのが魅力的です。

 そしてただただかっこいいのが、山の王、楊端和! とにかく強くて山の民はメロメロです。

 で…いろいろな登場人物がいるなか、私がさらに注目してほしい存在があるのですが……、これは自分のコラムなので好き勝手書かせてもらってますので、「何言ってんの?」と思われる方は目をつぶっといてください。

 あの、このキングダムを読んで本当にすごいな~と思った存在は「馬」です。そう、騎馬隊が乗ってる馬! ここにぜひスポットを当ててほしいのです。

 キングダムにはたくさんの馬が出てきます。将軍は当たり前のようにほとんど馬に乗ってるし、信も途中から馬に乗って戦ったりします。で、実際の歴史も人は馬に乗ってたくさん戦争したと思うんですよね。

 動物愛護精神ではないですが、ふと馬の立場に立ってみれば、人間の戦争なんてたまったもんではないですよ。領土争いか王座争いかなんだかしらないけど、全く迷惑な話です。

 鎧(よろい)付けさせられて、90度の崖を下らされて、弓矢を体に受け、馬車を引かされ……、それでも走って……、本当によくやってくれています。この馬について、序盤あたりで信が乗った馬が一瞬クローズアップされた場面が出てくるのですが、もっっっと馬を評価すべき!です!!

 一度短編でいいので、マキバオー的な感じで、馬目線の歴史マンガが読んでみたいですね。馬も馬の中で将軍の馬はすごかったり士気を上げたりしたんでしょうか。そう思うと心が痛いですね。

 さて、キングダムでは秦の国目線で話されてますけど、これが楚や韓や魏など他の国目線での話だと全く違ったものになって、どれが正義かはっきりと、わからなくなります。だから、他の歴史物マンガもこの機会にこれから読んでみていろんな目線で見てみたいな~と思いました。

 ◇プロフィル

 桜 稲垣早希(さくら いながき・さき)=1983年、神戸市生まれ。07年2月に、お笑いコンビ「桜」を結成。07年の「M−1グランプリ」で3回戦に進出するなど活躍していたが、09年末に相方がコンビを卒業し、ピン芸人として活動。アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、アスカの物まねで知られ、バラエティー番組「ロケみつ」(毎日放送)でブレーク。「R−1ぐらんぷり」で4年連続準決勝進出を果たしている。最近ではバラエティー番組などでナレーションもこなすなど、芸の幅を広げている。

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