テレビ質問状:ノンフィクションW「ノリウッドムービーができるまで」 ナイジェリア映画界の現状

ノンフィクションW「ノリウッドムービーができるまで。ナイジェリア“世界一の映画都市”夢と熱」の一場面
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ノンフィクションW「ノリウッドムービーができるまで。ナイジェリア“世界一の映画都市”夢と熱」の一場面

 WOWOWは、毎週金曜午後10時に「ノンフィクションW」枠を設け、オリジナルのドキュメンタリー番組を放送中だ。この枠では、見る人を新しい世界へと誘うフルハイビジョンの“ノンフィクションエンターテインメント”番組をWOWOWプライムで毎週、テーマを変えて放送している。6月28日に放送される「ノリウッドムービーができるまで。ナイジェリア“世界一の映画都市”夢と熱」を担当したWOWOWの制作部の富樫佳織プロデューサー、スタッフの制作会社「日本電波ニュース社」の西橋基彦プロデューサーと大月啓介ディレクターに番組の魅力を聞いた。

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 −−番組の概要と魅力とは?

 自国映画の製作本数、年間2000本で世界一! 米ハリウッドよりも、インドのボリウッドよりも映画が誕生しているアフリカ・ナイジェリアの映画製作現場を取材するドキュメンタリー。製作本数“世界一”とはいえ、日本人の私たちからしたら考えられない低予算と短い撮影期間。そんな環境で、映画がどのように作られているのか。厳しい条件の中でも映画に夢を懸ける人々を追う番組。

 −−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 アフリカのナイジェリアでの映画製作本数が“世界一”となったことです。ナイジェリアの「N」を頭文字にした「ノリウッドムービー」にそこまで需要があるのはなぜなのかを掘り下げたいと考えたからです。

 −−制作中、一番に心掛けたことは?

 撮影の苦労や交渉などいろいろありますが、特徴的だったのは安全管理です。今回の撮影の舞台となったラゴス市は、とても状況が安定している“都会”ですが、ナイジェリアはテロ宣告があったり、貧富の差が激しいことから治安が非常に不安定な国。現地に滞在する取材班には徹底した安全管理をお願いしながら、今回の撮影を進めました。そういった意味で、通常のドキュメンタリー取材とは違った心掛けが必要だった番組ですが、観光旅行で気軽に訪れる国ではないので、ぜひ、世界一の映画都市の状況を見てください。

 −−番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 “ナイジェリア時間”というか“ラゴス映画時間”。企画を立ち上げてから取材に出発するまで、とにかく、取材対象となる映画のクランクイン日程が二転三転どころか日々変わる状況で制作サイドは非常にヒヤヒヤさせられました。「もしかしてクランクインしなかったりして……」という思うところですが、逆に「これだけ流動的なのであれば確実にクランクインはするのでは」という気持ちで海外ロケに出発しました。

 無事、取材した監督の新作はクランクインして、番組取材もできたのですが、そこに至る過程は、まさに低予算と短期間という時間との闘い! 毎日目まぐるしく撮影スケジュールが進んでいくので、プロダクションと一緒にいながらも状況をつかむのが大変でした。映画現場以外の撮影では、ラゴス市内はまだカメラを持って町中を撮影している人が少ない上に外国人スタッフだったため、地元の人に囲まれてしまうというエピソードも。

 −−番組の見どころを教えてください。

 日本の映画製作の常識、またハリウッド映画のメーキングなどを見慣れていては、にわかに信じられない「ノリウッド式」の“勢いだけで全部撮り切る”という現場です。番組を見ていただきたいので詳しくは内緒ですが、クランクインの2、3日前に「えっ! いまさらそんな!」というようなことが日々起こります。

 正直いって日本で番組を作っている身からすると「この状況では自分だったら止める! 絶対やめとく!」と思う中、どんどん撮影を進めていく“エネルギーのある”彼らの製作現場から「映画を作りたい」という夢と情熱を感じていただけたら。

 −−視聴者へ一言お願いします。

 経済発展が急速に進む町で、たくさんの人々が「映画」に生活のうるおいや、成功への夢を懸ける。米国も日本も、他の国々も通ってきた過程を、今、最も発展めざましいアフリカがたどっているのが面白いなと思います。

 「ノリウッド」で映画を作る人々の姿から、未来に夢を持つ人々のまん中に「映画」がある意味を感じていただけたらいいなと思います。個人的にはノリウッドムービーのプロデューサーをやれといわれたら、そこまでの現場対応力がないので辞退したいなと思いますが(笑い)。

 WOWOW 制作部 プロデューサー 富樫佳織

 日本電波ニュース社 プロデューサー 西橋基彦

 日本電波ニュース社 ディレクター 大月啓介

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