歌舞伎俳優の二代目市川猿翁さんが、若い才能の育成に力を注ぐ人物に与えられる「13年度モンブラン国際文化賞」に輝き、27日、東京都内で行われた授賞式に出席した。息子で俳優の香川照之さんこと市川中車さんらに支えられながら歩いて会場に登場し、ゆっくりと両手を広げて、拍手に応えた。受賞コメントは中車さんが代読し、「時には異端児と言われながらも、あふれる情熱のままに歌舞伎一筋で歩んできた。それが若手にも伝わっていると思っている。ますます精進したい」と、歌舞伎への熱い思いを表現した。
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猿翁さんは、1月に大阪・松竹座の襲名公演中に風邪で休演し、同月下旬から東京都内の病院に入院。5月30日に退院し、博多座公演に出演予定だったが、体調不良で休演が続き、26日の博多座千秋楽のカーテンコールで約5カ月ぶりにファンの前に姿を見せたばかりだった。今回の授賞式は出席したが、体調面を考慮して写真撮影は中止となった。
モンブラン国際文化賞は、世界中で展開されているラグジュアリーブランド「モンブラン」の後援を受け、モンブラン文化財団による国際文化賞で、92年創設。あらゆる芸術の分野で若い才能の育成に尽力支援している人物に、その栄誉をたたえて贈られる。毎年1回、世界の主要国でそれぞれ開催されており、アーティストではなく、陰の立役者である“アートパトロン”にスポットを当てた他に類を見ないアワードとして注目を集めている。日本では、10年に舞台俳優の育成に貢献したとして夏木マリさん、11年に「ジョン・レノンスーパーライブ」開催の実績でオノ・ヨーコさんが受賞している。
猿翁さんは、名家出身の役者ではなく若手を中心に起用することを目的とした「二十一世紀歌舞伎組」を主催し、伝統的な歌舞伎の特徴に現代語の台本と最新鋭の舞台演出を組み合わせた「スーパー歌舞伎」を創設した功績での受賞となった。授賞式では、賞金1万5000ユーロと、世界に13点しかないモンブラン特別限定品「パトロンシリーズ」の万年筆を贈呈。中車さんによる猿翁さんの受賞コメントの代読、市川右近さんら弟子の献舞が披露された。(毎日新聞デジタル)
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