最近テレビやCMでちょくちょく見かけるけれど、実はあんまりよく知らない……。そんな、いまさら聞けない“ネクストブレーク芸人”の基礎知識を、本人たちの言葉を交えて紹介する。今回は、9月にコント日本一を決める「キングオブコント2013」(TBS系)の6代目キングの座を勝ち取り、今まさにブレーク中のお笑いコンビ「かもめんたる」だ。コンビ名の由来やお互いのことなど、その素顔に迫った。(毎日新聞デジタル)
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岩崎う大さんと槙尾ユースケさんのコンビで、2007年10月結成。岩崎さんは1978年9月18日生まれ、東京都出身のAB型。趣味は、は虫類の世話、読書、特技は英語、英会話。槙尾さんは、80年12月5日生まれ、広島県出身のB型。趣味はお参り、特技は女装、タロット占い。サンミュージックプロダクションに所属している。96年から活動を開始し、キングオブコント2012で決勝に進出。キングオブコント2013で、歴代最高得点を獲得して優勝した。
結成当初は「劇団イワサキマキオ」というコンビ名で、岩崎さんは「お芝居にこだわったネタをしていた」と話す。しかし、お笑い芸人ではなく劇団員と間違われることが多かったため、10年にマネジャーのアドバイスで改名。「かもめんたる」というコンビ名は知り合いのコピーライターに頼んで考えてもらったものだ。
岩崎さんは「30歳が近かったので、自分たちで決めるのも何か恥ずかしかった」と振り返り、その意味について、槙尾さんは「かもめのようにひょうひょうとしながらも、人間のメンタルを深くえぐるようなネタをするという意味があったことを、後から知りました。意識していませんでした」と笑った。
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キングオブコント2013で優勝した際、コンビ結成のきっかけがお笑い芸人の小島よしおさんにあると話題になった。早稲田大のお笑いサークルで出会った2人は、小島さんも所属していたコントユニット「WAGE」で活動し、ユニット解散後はソロ活動へ。
岩崎さんは当時、「WAGEを解散したのに、そのメンバー内でコンビを組むのは、なんとなくタブー」と考えていたが、小島さんがブレークしたことで「(元WAGEの)リーダーは脚本家としてやれていたし、もう1人はミュージシャンだからジャンルが違う。今なら僕らがコンビを組んでもいいかも」という考えに至った。2人は「もともと仲は良かった」といい、槙尾さんが「単独ライブをやってみませんか」と岩崎さんを誘い、1時間くらいの2人芝居にチャレンジしたのが始まりという。
かもめんたるのネタはコントがメインだ。漫才にチャレンジしたことがあるものの、岩崎さんは「コントが得意。苦手な漫才に割く時間がない。タイプとして『どうも~!』と前に出られない」と自己分析。槙尾さんも「もともとお笑いを始めたのがコントグループだった。急に漫才をやるのが恥ずかしい」と笑う。
また岩崎さんは「『キングオブコント』を目指すなら、コントと漫才とどっちかに絞った方が効率がいいなって思ったのもあったかも」と、以前からキングオブコントの座を目指していたことを明かした。
2人はお笑いサークルの先輩・後輩という関係だ。「劇団イワサキマキオ」時代を含め、今年で結成6年目。ちょくちょくケンカはするというが、解散の危機はない。お互いのことをどう思っているのだろうか?
槙尾さんは、先輩の岩崎さんについて「僕から見たらSなところがあって、意地悪。他の人は傷つけないようにするんだけれど、僕には容赦がない」という。「理解者か?」という質問には「まあそうかも。丸裸にされる」と苦笑いを見せた。
岩崎さんも「槙尾の考えていることはすべて分かるから、すべてを暴いていく。化けの皮をはがす」とうなずく。槙尾さんに「厳しい」と指摘されると、岩崎さんは「そういうのは直らないかもしれない。僕としては(槙尾さんが)傷つくことを何度も言って、皮を厚くして、直していこうと思っている」と開き直った。
一方、岩崎さんは槙尾さんについて「薄情なやつ」とひと言。第三者からの誘いがあった時のことを挙げ、「俺は槙尾を誘うけれど、槙尾は俺を誘わないよね」というと、槙尾さんは「あ、そんなこと思ってたんだ! 僕は気をつかって、そういう付き合いを面倒くさがるから、ここは僕が言わないで付き合い担当で、と思ってたんですよ」と弁解した。
キングオブコント2013について槙尾さんは「結構早い段階で、今年は優勝だ」と意識していたことを明かす。岩崎さんは「その前(2012年)はいかに決勝に行くかという話をしていた。今年はいかに優勝するかというイメージで単独ライブもやっていた」と語る。優勝コンビが決まる発表の瞬間を岩崎さんは「これがだめでも人生終わりじゃあないと気持ちを落ち着かせようとした」と振り返った。
王者になってからは連日仕事が舞い込み、岩崎さんは「夢が現実になっているなという気持ちがすごくある。優勝できてよかった。できなかったらと思うと怖い」とうれしそうだ。槙尾さんは休みなしの現状に「いまだに全部夢だったんじゃないかなと思う。ずっと長い奇跡が続いている」といい、「毎日仕事がある。優勝したんだな」と感慨深げだ。
そんな槙尾さんにあきれつつ、岩崎さんも「まだキングオブコントの一部って感じはある」と夢見心地の様子。一方で「自分たちの中でここまで忙しいのは今だけだし、あとで『頑張らなかった』と思いたくない。やれることはすべてやろうと思っている」と気持ちを新たにしていた。
岩崎さんは「今日は、自分への誕生プレゼントにお財布を買った」と明かし、「『ユナイテッドアローズ』に行ったら、店員さんが『優勝おめでとうございます』って言ってくれた。昨日も若い夫婦が『おめでとうございます』って。1日1回くらいそういうのが必ずある」と喜ぶ。それを聞いた槙尾さんは「えー! 俺はセレクトショップに行ったけれど、何も言ってくれなかった。こっち(岩崎さん)の方が言われるんですよね」とうらやましがった。
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2人は優勝賞金の1000万円で「小島(よしおさん)を含めた『WAGE』メンバーとその家族、僕らの家族みんなで温泉に旅行に行く」という。岩崎さんは「僕らが売れていないとき、たくさんおごってもらった。『優勝したら返してくれればいいよ』って言ってくれていたので」と感謝し、槙尾さんも「おごられたらおごり返す、恩返しだ!」と宣言した。
また槙尾さんは前回の優勝者「バイきんぐ」の2人が高級時計を買ったことを聞いたと言い、「バイきんぐさんに『何か形に変えた方がいいよ』って言われた。僕は時計はいいものがほしい」と購入をにおわせる。一方の岩崎さんは「ウオレットチェーン」がほしいといい、首をかしげる槙尾さんに「ウオレットチェーンはね、昔から買いたいの」と熱弁。「一番ほしいのは、60万円くらいする。でもそれを買ったら、俺が変わっちゃう……」と逡巡していた。