9月に放送されたコント日本一を決める「キングオブコント2013」(TBS系)で6代目キングの座を勝ち取ったお笑いコンビ「かもめんたる」の岩崎う大さんと槙尾ユースケさん、その恩人だというお笑い芸人の小島よしおさんの3人の初の対談が実現した。小島さんは「かもめんたる」にとって、同じ事務所で活躍する芸人同士というほかに、早稲田大のお笑いサークルでは先輩・後輩の仲。また、コントユニット「WAGE」でともに活動していた元相方でもあり、切っても切れない関係だ。そんな3人に、「キングオブコント2013」を改めて振り返り、番組への思いや優勝した瞬間の気持ちなどを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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−−3人の関係は?
小島さん:大学のお笑いサークルで出会いました。う大さんが4年で、槙尾が2年、俺が1年ですが、俺は浪人しているので槙尾とはタメみたいなもんで、う大さんは先輩ですね。芸歴は同期です。先に事務所に入って、テレビに出たのは俺だけれど、関係性は変わっていない。俺と槙尾はう大さんの新入生歓迎ライブを見て、憧れて部に入ったんです。
−−なぜ「WAGE」は解散したんですか?
小島さん:やめたのは完全に方向性の違い、バンドみたいだけれど(笑い)。5人だったんですが、俺とう大さんはピン芸人、槙尾は俳優、1人はミュージシャン、もう1人は脚本家になりたいって、みんなバラバラ。事務所との契約が切れるタイミングで話し合った。俺としては解散の言い出しっぺのう大さん以外は、みんなWAGEをやりたいんだと思っていたけれど……。
岩崎さん:槙尾は、小栗旬さんの事務所にスカウトされているって言ってた。
槙尾さん:違うって! 小栗旬さんになろうとなんてしてないから!
−−小島さんが恩人というのは?
岩崎さん:コンビを組んだのは、小島がブレークしたのがきっかけ。WAGEを解散したのに、そのメンバー内でコンビを組むのは、なんとなくタブーだと思った。でもそのころ(元WAGEの)リーダーは脚本家としてやれていたし、もう1人はミュージシャンだからジャンルが違う。今なら僕らがコンビを組んでもいいかもと思った。
小島さん:WAGEのとき、(岩崎さんと槙尾さんの)2人でやっているコントも単独ライブで必ずあって、評価が高かった。当時の社長が「『加トちゃんケンちゃん』みたいだよね」って褒めていた(笑い)。俺がツッコミで2人がボケというトリオの形もあった。
岩崎さん:もし小島が売れてなかったら、トリオだったかもしれない。
−−小島さんから見た「かもめんたる」はどんなコンビですか?
小島さん:傀儡師(くぐつし)と操り人形。槙尾は操り人形ですよね。槙尾が自分で勝手に動いて糸をからめたりすると、う大さんに怒られる(笑い)。う大さんの言う通りだと、普通にスムーズにやっているのに、自我が目覚めると、糸がからまる!(笑い)
槙尾さん:僕の自我を目覚めさせないように調教しているっていうんですが、自我って普通みんなありますよね! 僕は人形じゃない!
−−小島さんは「キングオブコント2013」では応援コメントしていましたね。いつから優勝を意識した?
小島さん:昨年は無理だと思った。でも本当に3位で、僕今年も当ててるんですよ。僕は(13年の)当日、テレビで見てたんですけれど、ファーストステージの1位通過の時点で、僕は次の2人のネタが何か知っていたので、今年は優勝すると思った。
槙尾さん:僕は、調子に乗っていると思われるかもしれないけど、結構早い段階で、今年は優勝だと思っていた。大会が始まってからは、優勝を意識しないようにしようと思ってた。
岩崎さん:僕は、最初の(1本目の得点が、1000点満点中)923点が出た時に、(優勝を)たぐり寄せた感があった。優勝したら本当に人生変わっちゃうと思うんで、普通に今までののほほんとした人生でもいいんじゃないかとか、忙しくなったら嫌だなとか、最後にネタをやれるだけでも十分スゴイし、とか、本心じゃない気持ちで、自分を落ち着かせた。
−−歴代最高得点となる987点での優勝。決まる直前の気持ちは?
小島さん:優勝すると思っていたけれど。10の桁が「8」の時、「あれっ」って思った。一瞬「あれっ」てなったんですよ。まさか100の桁が「9」のわけない(「8」だったら負け)って思って……
槙尾さん:ネタの途中は、熱気は感じてはいますけれど、コントに集中しているのであんまり優勝については考えなかった。終わってから優勝したいと思った。でも10の位が「8」だったとき一度夢を打ち砕かれた……。
岩崎さん:これがだめでも人生終わりじゃない、とか、単純にどんな点になるんだろう、どんなことが起こるんだろうと客観視して、自分の点数を待ちました。
−−終わったあとはどうですか?
槙尾さん:いまだに全部夢だったんじゃないかなと思う。まだ夢かも。20連勤(取材時点で)で仕事が続いていて、ずっと長い奇跡が続いている。そんな幸せなことってあります?
小島さん:確かに、うれしさは急に来るんだろうね。でも、夢かもって言っていいのは2、3日じゃない? 今度の休日で、槙尾の夢が切れますね。振り返る時間ができますよね。
岩崎さん:まだ「キングオブコント」の一部って感じはある。うれしくもあり、夢の舞台でもある。いい気持ちで仕事に臨めています。
小島さん:9月に終わってますよ、「キングオブコント」! お二人、もちろん、優勝で出られている番組だけれど、そろそろ切り離して考えないと。夢から覚めてください(笑い)。
−−賞金については「みんなで旅行」以外で、どう考えている?
槙尾さん:先輩に相談できる方がたくさんいらっしゃる。来年の税金が怖いぞとか(笑い)。だからとりあえず、賞金に伴ってきた仕事のお金は使うとか……。
小島さん:俺とかダンディ(坂野)さんとかヒロシさんは一緒だけれど、君たちは違う。サンミュージックでコンテストに優勝したのは初めてだから、そういった意味では、正確にはアドバイスできない! いないんだもん。「東京03」さんとかと早急に飯に行かないと。賞金を取る優勝と一発屋は違う。そういうところを世間の人は一緒にしがちだけれど違う。正確には、ロバートさんとかキンコメ(キングオブコメディ)さんとかのアドバイスを聞くのが一番ためになる。
−−ブレークした先輩として、小島さんからかもめんたるにアドバイスは?
小島さん:僕とは芸風も違うし、ネタもしっかりしているから、単独ライブで来年もしっかりやって、ネタをしっかりした方がいい。「東京03」さんみたいな、同じく優勝して、単独ライブでお客さんを集めて、DVDがすごく売れて、そういうのを目指した方がいい。バラエティーでガツガツ行くタイプじゃない。俺は何とか引っかかってますけれど、トークがすごいわけでもないですし、一緒にやってた分だけ、その場に立ったら二人がどうなるかが分かるから。
二人はコントが強い。バラエティーは、自分らが出たいって出るもんでもないので、そのときはもちろん積極的に頑張って、コントをおろそかにしないように。コントを作る時間が少なくなるけれど、去年と同じようにライブをやった方がいい。しんどいと思うんですよ、「バラエティーで何もできなかった」と落ち込むこともあるでしょうし。
槙尾さん:落ち込んだらどうするの?
小島さん:俺の場合は、人と会うことだよね。1人になったら自分の失敗した経験が押し寄せてくるから。2人には単独ライブがあるから、メンタル的にはそれをよりどころに、帰ってくるところがあると思えるのは違います。
岩崎さん:俺たちは幸い家族がいるから一人にはならないね。
<かもめんたるのプロフィル>
岩崎う大(いわさき・うだい)さんと槙尾ユースケ(まきお・ゆーすけ)さんのコンビで、2007年10月結成。岩崎さんは1978年9月18日生まれ、東京都出身のAB型。趣味は、は虫類の世話、読書、特技は英語、英会話。槙尾さんは、80年12月5日生まれ、広島県出身のB型。趣味はお参り、特技は女装、タロット占い。サンミュージックプロダクション所属。96年から活動を開始し、キングオブコント2012で決勝に進出。キングオブコント2013で、歴代最高得点を獲得して優勝した。
こじま・よしお。80年11月16日生まれ、沖縄県出身のO型。サンミュージックプロダクション所属。趣味はサイクリング、筋トレ、お悩み相談、ポールダンス、ボルダリング、資格はなまはげ伝道師、漢字検定準1級、さかな検定1級、ジュニアアスリートフードマイスター、ダイエット検定1級2級を持っている。お笑いコンビ「かもめんたる」らとコントユニット「WAGE」で活動し、ユニット解散後はピン芸人としてソロ活動し、「そんなの関係ねえ!」のギャグでブレーク。「ユーキャン新語・流行語大賞2007」のトップ10に入賞した。