江戸時代、料理で主君に仕えた包丁侍……。御算用者(経理係)として藩に仕えた「そろばん侍」の一家を描いた「武士の家計簿」に続き、刀を持たない侍の物語の第2弾「武士の献立」(朝原雄三監督)が14日に公開された。加賀藩の包丁侍の家に嫁いだ嫁・春と夫・安信の家族の絆を描いた時代劇。春を演じる上戸彩さんは8年ぶりの主演、夫・安信を演じる高良健吾さんは時代劇初出演。「釣りバカ日誌」シリーズの朝原監督が手掛ける人情味あふれる1作。
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舞台は江戸時代、春(上戸さん)は浅草で有名な料理屋の両親のもとに生まれ、優れた味覚と料理の腕を持つ。気の強さがあだとなって離縁され、今は加賀藩六代藩主・前田吉徳の側室お貞(夏川結衣さん)に仕えている。ある日、江戸屋敷の宴席で、藩内屈指の料理人で台所方の舟木伝内(西田敏行さん)が、汁椀の中身当てを余興で問い出す。それを見事に当てた春は、伝内に気に入られて、舟木家の嫁となった。姑の満(余貴美子さん)に快く迎えられるが、跡取り息子で夫の安信(高良さん)は、年下で家を継ぐ気がなく、春にもまったく興味がない。それどころか、春はこっそり夫の作った料理を手直しして安信を怒らせてしまった……という展開。
年上の女房とプライドが高くて子どもっぽい夫。2人が夫婦になっていくまでの成長する姿を、時代劇の中で描き出した。料理で主君に仕える武士である「包丁侍」の夫だが、料理の腕はいま一つ。対する妻は、幼いころ火事で両親を亡くした苦労者。出戻りだから、人生経験も豊富ときている。歌舞伎でも有名な加賀騒動の時代。やがて藩を揺るがす権力争いが、夫婦の運命に降りかかってくる。言いたいことはハッキリと言うこの時代にめずらしい女性像・春を、上戸さんが好演している。次第に成長していく年下夫を演じる高良さんも新鮮だ。「料理もの」と「時代劇」のコラボで、和食の魅力が全開。加賀藩に実在した舟木伝内、安信親子が書いた献立書「料理無言抄」を基に料理を再現したという。江戸時代の素朴でヘルシーな料理が目に楽しい。14日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、闘病をきっかけに、単館映画館通いの20代を思い出して、映画を見まくろうと決心。映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。
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