戸田和幸さん:引退後初のメディア出演で解説初挑戦 「途中から楽しくなってきた」

1 / 3

 今季限りで引退を表明したサッカー元日本代表の戸田和幸さんがこのほど、WOWOWで放送されたスペインのサッカーリーグ「リーガ・エスパニョーラ 13−14シーズン」の第16節、オサスナ対レアル・マドリード戦で解説に初挑戦した。今季、18年というプロサッカー人生にピリオドを打ち、同番組が引退後初のメディア出演となる戸田さんが、初解説の感想や現在の日本代表への思いなどを語った。

あなたにオススメ

 −−解説初挑戦でしたが、感想は。

 何事をするにも、準備が必要ですね。とにかく試合を見ながら頭で考えたり、いただいたレアルとオサスナの資料を繰り返し見て、自分なりに分析していました。それをベースに、きょうはどうだという話をしたかった。オサスナが見事にリアクションを見せてチームもガラッと変わったから、あの試合展開になったのかなと思います。

 −−落ち着いて話をされている印象を受けましたが、緊張は?

 緊張していたのですが、途中から楽しくなってきました。貴重な機会をいただいて、途中からいっぱい話したくなった。自分が人にどう思われているのか、自分なりに疑問符を持っているので、「あんな容姿して意外にサッカーについてはちゃんと話すんだ」みたいなところを出せたらいいなと考えていました。

 −−戸田さんは海外でのプレー経験もありますが、リーガの全体的な印象は。

 ただボールをけるのではなく、戦術的な駆け引きも含めて、サッカーをしてくる。イングランドはもっとパッション。割とシステムでかみ合ってエキサイティングするけど、リーガはもっと駆け引きがある。そういうところも含めて、リーガは僕の一番好きなリーグです。たぶんリーガの選手たちのDNAの中には、駆け引きも含めてサッカーだと刷りこまれているんじゃないかな。僕はそれが35歳になってやっと自分の中でカチッときた。だから選手をやめた。自分が試合でどんなプレーをすると、どういう立ち位置になって、どんなボールを出せば試合はうまくいくのか、なんとなく分かるようになってきた。シンガポールはレベルがあまり高くないですが、そんな選手になるために一生懸命やってきて、自分としても少しできるようになったかなと思えた。そうしたら、それを今度は「伝えたい」「人に教えたい」と思った。プレーするのも大好きですし、年齢的な部分もありますが、今はその気持ちが強いですね。

 −−バルセロナの今シーズンに関してはどういう評価を。

 一番強かった時期に比べると、明らかに違うなと感じます。ボールを回すことに固執し過ぎて、その分間延びしたり奪われた後のトランジション(切り替え)が遅くなり、逆に攻め込まれるシーンが増えている気がします。まだ、発展途上だとは思いますけどね。

 −−今季はアトレティコ・マドリードやビジャレアルなどの調子がよくて、上位に名を連ねていますが、2強以外に注目しているチームや選手は。また優勝争いは。

 アトレティコ・マドリードは非常にソリッドなチームですよね。能力は高いし、ディエゴ・パブロ・シメオネ監督がしっかりチームプレーをただきこんでやっている分、崩れないし破壊力がある。過去数年レアルもバルサも上位にはいますが、ずば抜けている感じはしないですね。

 −−日本代表は、年が明けるとW杯に挑みます。先日組み合わせ抽選もありましたが、日本の対戦相手についてはどう感じられていますか。

 僕は最初見たときに、「これはきついところに入ったな」と思いました。簡単にいうとクセがある。ギリシャとかは、割と苦手なタイプじゃないかな。相手に主導権を持たせても、跳ね返してセットプレーで点を入れて勝つ手もある。コートジボワールはディディエ・ドログバ選手もいて、ヤヤ・トゥーレ選手っていう“怪物”やジェルビーニョ選手もいて、アフリカだけど欧州的なサッカーができるチーム。コロンビアも南米でうまい上にいやらしい。球際の争いも相当厳しいし、ラダメル・ファルカオとか強烈な選手もいる。

 −−戸田さんが、今の代表に期待することは。

 アタックに関しては、自分たちで作っていける能力があると思うので、期待できると思います。ただ攻めれば攻めるほどラインは高くなって、スペースができる。そのリスクマネジメントを試合の中でどうするか。そうしないと一発でやられる。ウルグアイのときもそうだったように、チームとしてそういうシーンをどう減らすかやっていくと、より自分たちの時間が増えたり、主導権がとれる。あとは最近、選手の入れ替わりや競争がありますよね。最後の段階で誰に固定するのかは、興味深いですよね。今、この瞬間「こいつ外れた」みたいなところもあって、全体に緊張感があるんですけど、これが本大会が近くなると固まってくる。そうなったとき、本当に遠藤(保仁)選手は後半から使うのかとか、興味が出てくると思う。とにかく、代表として戦うのは特別。やってくれると思います。

 −−最後にリーガファンへ一言。

 今回の試合なんかは特にそう。ゲームの流れを意図的に変えている。指導者の作戦だったり、選手としての刷り込まれた戦術眼だったり、サッカーが上手ですよね、リーガは。テクニック的に見どころもあるし、「ゴラッソ」といわれるように素晴らしいゴールも多いので、普通に見ていれば楽しめるリーグ。そういうところを見ていくと、サッカーの面白さや深みが分かる。僕は学ばせてもらいました。また機会があれば、「おっ」と思えるような話がしたいと思います。決して、リーガは退屈ではない。例えバルサ、レアルが優勝しても、リーガはまるで退屈しないですよね。

写真を見る全 3 枚

テレビ 最新記事