姫野カオルコ:念願の直木賞 次は「ベストジャージースト賞作家」宣言 会見詳報

直木賞の受賞会見にジャージー姿で登場した姫野カオルコさん
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直木賞の受賞会見にジャージー姿で登場した姫野カオルコさん

 16日に第150回直木三十五賞(以下、直木賞)に選ばれた姫野カオルコさんが受賞後、東京都内で会見した。5度目のノミネートで受賞した姫野さんはジャージーにタオルを首からかけた姿で登場した。おもなやりとりは以下の通り。

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 −−トレーニングウエアですがなぜそのようないで立ち?

 ジムにいました。ストレッチしてました。そこにずっといて、そのままエアロビクスのレッスンを受けようと思ったんですが、ドライアイで目が痛くていったん外に出たらそこで電話をもらいました。

 −−そのときの気持ちは?

 読者のお陰だなと思いました。

 −−なぜそのままの格好で?

 時間がなかったので。できれば午後8時までには(会場に来てください)と言われたので。この格好で来ると、ベストジーニスト賞にすごく憧れがあったんですが、これでベストジャージースト賞を自分でもらっておこうと思って(笑い)。

 −−受賞前に「私は前夜祭作家」と言っていましたが、祭り(受賞)がきた。これからはどのように自称する?

 ベストジャージースト賞作家。

 −−著書に「すっぴんは事件か?」という作品もありますが、今日は化粧は?

 ファンデ(ーション)とかは塗っていません。マスカラもしていません。

 −−(選考委員の)浅田次郎さんが姫野さんを(4、5年おきにノミネートされるので)「五輪候補」だと言っていたが、表彰台に上った気持ちは?

 まぶしいので皆さんの顔はよく見えませんので、角膜にいっぱい傷が付いていて。私はノミネートされるたびにうれしかったです。今もノミネートがうれしい。アーティストとしてはノミネートがうれしくて、受賞すると本が売れるのでビジネスマンとしてはうれしいです。

 ノミネートされると合同会見とか会見を受けるんですが、最初の時は来てくれる記者の方が自分よりお姉さんお兄さんという感じだったんです。次は先輩、次は同級生、次は後輩と、この間は(記者に)「私の母が姫野さんと同じ年」と言われた。だんだん来てくれる方が若くなってきて、流れが見られて感慨深いものがあります。

 −−タオルを掛けていますが“姫野タオルコ”を狙った?

 NHKの方には申し訳ないですが、ナイキでそろえてきただけです。笑うところだったんですよね。タオルコとカオルコで……。(質問した記者に)すべりましたね。

 −−犬で昭和史を書いたのは?

 犬で昭和史を描きたいというよりも、犬と猫が好きだったので担当の編集と犬と猫のことを話していたら、どんな犬を飼ったかを思い出していたら、自動的にそういうふうになったというところです。

 −−何犬が好きか?

 雑種。

 −−滋賀県出身、思いは?

 うーん、高校野球で優勝したことがない県が数県あって、そのうちの一つですよね。今、楽屋で聞いたのですが、直木賞も滋賀県(の受賞者)はなかったそうなので。滋賀県に対する思いは、いつも美人の子と一緒にいる目立たない女子が合コンに行った感じ。いつも京都のそばにあって、いつも京都にいいところ持っていかれている感じ。

 −−文学界で特異な位置に立つています。浅田次郎さんが姫野さんを「孤高の作家」「誰にも似てない」と言っていますが、なぜだと?

 鍵っ子で一人っ子だったので、そういうことじゃないですかね(笑い)。団体行動が苦手だからじゃないかなと。

 −−こういう本がはやっているものにひかれたりとかという感覚はある?

 あんまりはやりのものの知識がないからです。それで情報や知識がないので、それに加えて自分でそういうものを入れないようにしている。あんまり振り回されないようにしようと思って。

 −−初めて直木賞候補になってから17年。これまでを振り返った気持ちは?

 質問が大きすぎて・・・・・・。さっき言ったようにどんどん記者の方が若くなっていくのと、本というのがそんなに売れる時代じゃないですし、特に私の本は売れ線じゃないですし、本当に細々とした生活で、くじけそうにもなりますけど、読者の方が支えてくれた。一般の読者の方だけでなく、担当してくださる編集の方も「一読者として好きです」と言ってくれるのも含めて、私はすごく読者に恵まれました。それを一番強く思います。

 親指シフトキーボードというのを使ってるんですが、心の奥で思っていることを日本語のリズムを崩さないように助けてくれた。

 −−今後は?

 今後も、今まで賞というものに小さいときから学校も含めて無縁だったので、一度だけ小学校6年生の時に走り競走で一等賞を取った以外、無縁だったのですが、直木賞をいただいたことで「この場でこのような賞をいただきました」といえる機会をいただいた。これからも自分のペースで書いていっていいんだなと思えるので、そのときそのときのマイブームに合わせていろんな作品を書いていこうと思います。

 −−今回の高い評価について、自身ではどのような点だと思う? 工夫した点は?

 そんなに特に意識的に工夫という域ではないんですが、いつもいつも読者想定として、「たくさん本を読んで、本を読むことが普通ではない人」を想定しました。本を読むのが嫌いというわけではなくて、本マニアじゃない人を想定しました。

 −−浅田さんの選評で「今回の直木賞は姫野さんにねじ伏せられた。頭が下がった」という言葉があった。直木賞のイメージは?

 浅田さんの選評というのを全部聞いていないので、直木賞がねじ伏せられた? それはそうですかねという感じです。あんまり自分は直木賞っぽくないと思ってます。そういう意味ですかね。浅田さんに聞いてみないと分からない。

 −−ジムで鍛えるのはなぜ?

 別にジムに行って鍛えているんじゃなくて、踊ってるんです。ダンスですね。ジャズダンスとベリーダンスとラテンダンス。踊るときに体感、アライメント(体幹)がずれるので、(マシンも)渋々やってるんですが、主にジムで踊ってるんですね。お酒を飲んで勢いつけて書く方いらっしゃいますよね。それに似ていて、動くと“ふあーっ”とするので、仕事の一環です。

 −−仕事場でも踊る?

 します。難しいステップがあると、(動画投稿サイトの)「YouTube」とか「ニコニコ動画」で基本ステップとか教えてくれるので、部屋で練習して汗をかいてそれから書いてます。

 −−以前「小説書くなんてダメ人間」と言っていましたが

 基本的にそう思っている。本を書いたり読んだりしないで済むならその方が幸せな人だと思っています。

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