WOWOWは、毎週金曜午後10時に「ノンフィクションW」枠を設け、オリジナルのドキュメンタリー番組を放送中だ。この枠では、見る人を新しい世界へと誘うフルハイビジョンの“ノンフィクションエンターテインメント”番組をWOWOWプライムで毎週、テーマを変えて放送している。2月14日に放送される「男子テニス日本代表監督・植田実　コートサイドから歴史をつなぐ」を担当したWOWOWスポーツ部の佐塚良輔プロデューサーに、番組の魅力を聞いた。

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　−−番組の概要と魅力は？

　　先日（2月2日）にデビスカップのワールドグループで歴史的勝利をあげた日本代表の植田実監督に密着したドキュメンタリー番組です。

　1900年に誕生した男子テニスの国別対抗戦であるデビスカップは、サッカーのワールドカップのような位置づけです。81年からの現行のワールドグループ制に移行して以来、何度もその壁にはね返され勝ち抜くことができなかった日本代表ですが、今回、昨年ベスト4の強豪カナダに4−1で勝利し、ベスト8に駒を進めました。チームを率いる植田監督を主人公に、この歴史的勝利に向かう日本代表チームの日々を描きます。

　テニスの日本代表チームにここまで密着できた番組は過去に存在しないと聞いています。対戦国の分析、直前の練習、大会が始まってからのロッカールームなど、かつて見たことのないコート内外の日本代表チームの姿に注目してください。

　−−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は？

　昨年9月のコロンビア戦（男子テニス国別対抗戦デビスカップ　ワールドグループプレーオフ　日本VSコロンビア）を現場で見たことでした。

　私は昨年7月の人事異動でスポーツ部のテニス担当になった新参者なのです。実はテニスの生中継を行いながら、ここまで真剣にテニスを見たのはそのときが初めてでした。会場の雰囲気、毎日の真剣勝負と試合展開、そして最終日の劇的な逆転勝利（1勝2敗で迎えた最終戦を2勝し、日本が逆転勝利）を目の当たりにし、「これは物語になる」と感じ、企画書を書き上げました。

　その最初の企画書での主人公は、最終戦に出場し、極限のプレッシャーの中勝利をもぎ取った添田豪選手だったのですが、番組統括や編成部の方と企画を練り上げる過程で、植田監督に主人公になっていただき、チームを取材することにしました。

　−−制作中、一番に心がけたことは？

　「歴史をつなぐ」ことです。マスコミや取材が苦手な植田監督に今回の取材を受け入れていただけたのは、「日本テニスのためになるのであれば」という理由からでした。

　約100年の日本テニスの歴史は、世界を席巻した清水善造さんや佐藤次郎さんの黎明（れいめい）期から、勝ち負けを繰り返す時代をへて、錦織圭、添田豪の二枚看板をそろえた今に至ります。そんな歴代を支えた選手たちの「日本代表」という思いを、「歴史をつなぐ」覚悟で、植田監督はこの仕事に取り組まれています。

　WOWOWも92年からテニスのグランドスラム（4大大会）の放送を開始し、多くの先輩たちがテニス界と関係を築き上げ、今に至っています。その関係性があるから、今回の番組が制作できました。植田監督が歴史をつなぐために、この番組が役に立てると信じて制作を進めています。

　−−番組を作る上で大変だったエピソードは？

　とにかく放送まで時間がないことが大変でした。2月2日に試合が終わって、2月14日に放送……。12日間というと、時間があるように見えますが、実はまったくないのです。また、2月2日の試合結果次第で番組の構成が大きく変わります。試合前に編集できるものなど準備をしながらも、3日間の試合展開で、毎日右往左往でした（笑い）。

　「でした」と過去形になっていますが、この記事が配信されるとき（11日）もまだ制作途中の予定です。間に合いますかね（笑い）。

　−−番組の見どころを教えてください。

　とても幸運なことに今回、ワールドグループで勝利するという歴史的偉業を成し遂げた瞬間の日本代表チームに密着できました。格上のカナダに勝つためのコーチ陣の奮闘、対戦国の分析、ビッグサーバー対策を行う代表選手の直前練習、1勝1敗で終えた直後のロッカールーム、そして、勝利を決定させた植田監督の采配。43分間に凝縮された日本代表のチームの戦いの記録をお楽しみください。

　−−視聴者へ一言お願いします。

　ドキュメンタリーというと見るのになかなかハードルが高くなりますが、錦織圭選手を擁するテニスの日本代表チームが強豪カナダに勝利する気持ちのいい43分間の物語です。植田監督を中心に、歴史的勝利に突き進む日本代表チームの姿をぜひお楽しみください。

　WOWOW　スポーツ部　プロデューサー　佐塚良輔