「サイドウェイ」(2004年)や「ファミリー・ツリー」(11年)などの作品で知られるアレクサンダー・ペイン監督の最新ヒューマン作「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」が全国で公開中だ。主演のブルース・ダーンさんが、76歳で仏カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞に輝いており、米アカデミー賞でも作品賞、主演男優賞など6部門でノミネートされた。
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モンタナ州の田舎町で暮らすウディ・グラント(ダーンさん)は、突然届いた100万ドルの賞金が当選した知らせを受け、遠く離れたネブラスカ州まで金を受け取りに行くと言い出す。どう考えてもその知らせはインチキくさい。しかし、もともと頑固で、最近は思い込みが激しくなってきているウディは、歩いてでも行くと言ってきかない。仕方なく、次男のデービッド(ウィル・フォーテさん)は父に付き合い、車でネブラスカに向かうことにするが……という展開。
普段は父親と距離を置いていた次男と偏屈な父。旅の過程で徐々に心を通わせていく様子が、へんぴな田舎町のドライブとともに描かれていく。老いた父と中年の息子という関係性に焦点を当てているところが新鮮で、それだけに、ウディの本音が明かされる場面での感動はひとしおだ。その一方で、ウディが息子と立ち寄る生まれ故郷での一幕ではユーモラスな演出を施し、作品全体が感傷的になり過ぎないバランスのとり方に好感が持てる。モノクロの映像で、それがほのぼのとしたストーリーにさらなる滋味を与えており、俳優陣が日本ではさほどなじみがない人たちであることも、登場人物に感情移入させやすくしている。これがハリウッド大作の常連俳優だったら、ここまでの親近感は生み出せなかっただろう。本当にいい作品だ。とりわけ、ウディ世代の父親を持つ人には、心に響く作品に仕上がっているのではないだろうか。2月28日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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