注目映画紹介:「ダイバージェント」“異端者”ヒロインが敵に立ち向かいながら成長していく

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 ベロニカ・ロスさんの小説家デビュー作で、シリーズ累計1900万部突破の世界的ベストセラーを映画化した「ダイバージェント」(ニール・バーガー監督)が全国で公開中だ。「ファミリー・ツリー」(2011年)で主人公の娘を演じたシャイリーン・ウッドリーさんが主演し、英テレビシリーズ「ダウントン・アビー 貴族とメイドと相続人」(10年)に出演したテオ・ジェームズさんが相手役を務めている。アシュレイ・ジャッドさん、マギー・Qさん、ケイト・ウィンスレットさんらも出演。“五つの共同体”のどれにも属さない“異端者(ダイバージェント)”の少女が、自らの力に開眼し、人類を我が物にしようとたくらむ権力者に立ち向かっていく姿を描く。

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 最終戦争から100年後の近未来。そこでは人間の性格を「勇敢」「高潔」「博学」「平和」「無欲」の五つに分類、それぞれの共同体を作り、人々はその中で一生を送っていた。無欲の家庭で育ったベアトリス(ウッドリーさん)は、一生に一度の性格診断テスト「選択の儀式」によって、どの共同体にも当てはまらない “異端者”という結果を得る。異端者は、人類を滅ぼす、謎に満ちた脅威とされていた。ベアトリスは、異端者であることを隠して「勇敢」に加入。名をトリスと改め、激しい戦闘訓練こなしていくが……という展開。

 選択の儀式によって、その後の自分の人生が決まってしまうという社会構造が恐ろしい。その中において、それまでの生き方を捨てることは、両親はもとより、そこで生きている共同体すべての人間を否定することにもつながる。その葛藤をのみ込み、新たな一歩を踏み出すヒロイン。邪魔者を力で封じ込めようとする敵に立ち向かいながら成長していくヒロインが、りりしくすがすがしい。“敵”のたくらみや教官フォー(ジェームズさん)との関係など、サスペンスあり、ロマンスあり、アクションありで、見る者を飽きさせない要素がたっぷり詰め込まれている。シリーズ3作目までの映画化がすでに決まっているそうで、今後の展開が楽しみだ。11日からTOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(りんたいこ/フリーライター)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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