ホラーゲーム「零~zero~」を原案とする実写版映画「劇場版 零~ゼロ~」(安里麻里監督)が26日から公開される。原作は「多重人格探偵サイコ」などで知られる作家で民俗学者の大塚英志さん。外界から閉ざされた山間にあるミッション系女子高の寄宿舎を舞台に、呪いのおまじないを信じる少女たちが失踪し、不可解な死を遂げる謎の事件を2人の美少女が追う。「貞子3D」に続く、KADOKAWA映画が放つホラームービーだ。
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山間の小さな町にある女子高。その学校には午前零時に女の子だけがかかるという呪いの言い伝えがある。3年生のアヤ(中条あやみさん)は、学園のカリスマ的な存在の少女だったが自室に閉じこもるようになってしまう。クラスメートのカスミ(山谷花純さん)が姿を消し、カスミの部屋からアヤにそっくりな少女の写真が発見される。その写真を見た生徒たちは、アヤの幻に苦しめられ、「お願い、私の呪いを解いて……」というささやきを聞くようになる。やがて、学園のそばの小川のほとりで失踪した生徒の水死体が上がる。そんな中、アヤを慕うミチ(森川葵さん)の前に本物のアヤが現れて、2人は一緒に事件の謎を追い始める……という展開。
ミッション系の女子高、白の丸襟と膝下のスカートの制服姿といういまどきではない女子高生たち。ホラーとはいえど、映像はあくまでも上品でクラシカルだ。物語の中心には、高校3年生の美少女アヤとミチの友情がしっかりと描きこまれている。ラファエル前派の画家ミレーの絵画「オフィーリア」が水死体を想起させ、「恐怖」と「美」が巧みに関連付けられている。また、まるで喪服のような制服と白いネグリジェの二通りの衣装が、少女の心の闇と純潔の両面を表すかのようだ。小道具や衣装に至るまで、世界観が統一されている。ジャパニーズホラーの特徴である水の描写は、単に脅かしで使うことはなく、静けさと美しさを強調し、謎を追い求めて2人が行きついた水のある場所でその意味が分かる仕掛け。美保純さん、中村ゆりさん、中越典子さんと、少女っぽさを持つ女優陣が脇を固めている。シネマメディアージュ(東京都港区)ほかで26日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作に登場するスキンヘッドのイタコ男子に目がくぎ付けになり、個性的なキャラクターだと感心していたら、大塚英志さん原作コミック「黒鷺死体宅配便」のメインキャラだと知りました。
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